おいらと音楽「アコギ編」⑤ YAMAHA FG-301 | つんちのブログ

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一所懸命!!!何事も拘っていいじゃない!!!

バザーで遭遇。

1990年頃のお話しである。

とある専門学校の文化祭に赴いた際、オーソドックスなバザーコーナーがあった。

どれどれ・・・と会場に入った途端、ひときわ大きなブツが目についた。

黒いレザー調のハードケースの蓋が開き、特徴的な形状のピックガードが輝きを放つ。サウンドホールの中にはオレンジ色した楕円形のラベルが貼ってあり、{YAMAHA}{FG-301}{made in japan}の文字。「こっ、これは・・・紛れもなくYAMAHAのフォークギターだ・・・」

以前からヤマハのギターに興味があったおいらのテンションは一気に上がる。

すかさずチェックに入る・・・「見たところ大きなキズはない」「弦高は高いがサドルで落とせる範囲だ・・・」

「フレットの減りもない」「ボディーの浮き、変形なし」「肝心のお値段はいくらか・・・んっ\5,000-」「ケース付きで\5,000-だとぉ~」もう心の中は「買い」という決断が下されている。「少しチェックしていい?」ととぼけて手に取ってみた・・・。YAMAHAらしい太くしっかりしたネックが手に馴染む。裏板は珍しい3PになっているしペグにもYAMAHAの刻印があってルックスはかなりのイケメンだ。ネックの反りは若干あるがいわゆる元起きではない。もう気分はアゲアゲ状態だけど興奮を抑えて冷静を装い・・・「ふむ、悪くないね~、んじゃこれ頂戴!!!」と言いながら心の中ではやったーっ!!!と叫んでいたのである。

 

国産ギターというだけでも・・・。

さて、肝心のブツ情報であるが「ヤマハFG-301」は1975.11~1978.12に製造された、入門者向けのいわゆる廉価版ギターである。トップに蝦夷松、サイド&バックはパリサンドル(マダガスカル産のインディアンローズ)を使っているが、そこは廉価版なのですべて合板である。だがネックはアフリカンマホガニーの2P、指板とブリッジもパリサンドル・・・という今や希少な材料をふんだんに使ったギターである。ボディー形状は「ヤマハオリジナルウエスタン」というが、おいらはドレッドノートと区別がつかない。とにかく当時は海外に工場がなかったので3万円という定価であるにも関わらず国内製造品~今となっては国産というだけでも価値アリだと思ってしまうブツなのだ。

 

サウンドはチープでも使い方次第という件。

サウンドについては、素直に自分の感じたことを述べさせていただく。

薄めの胴厚と合板かつ3Pバックというところで、高音から中音域が前に出るため、低音の鳴りは控えめだ。悪くいえばダイナミックレンジは狭いしボリュームも出ない。もちろん悪い音ではないが合板ギター特有の「それなり」であるから、スタンダードなギターと比べたらやはりチープになってしまうだろう。

ところが、マイクを通じて録音した音源に対する第三者の評価は「ギターの音が凄く良い」「いいギターですね」などのコメントが相次ぐのだ。これを裏付けるサウンドミキシングエンジニアのコラムを呼んだことがある。「YAMAHAのギターは全般的に優等生」という内容で、レコーディングスタジオでギター奏者がYAMAHAを持ち込んでくれるとホっとするというのだ。これは音創りをする際に思い通りにできるという意であり、可もなく不可もないYAMAHAサウンドが扱いやすく、ギブソンに代表される個性的なサウンドとは対照的というものだ。もっともプロミュージシャンはオール合板の廉価ギターを使わないので、FG-301をこの事例に当てはめるのは無理がある。だが、YAMAHAギターに共通する系譜的な音質というものは廉価版のギターにも継承されていると思う。

 

奏者が心地よいサウンドであることがイチバン。

おいらはソロリストではなく、あくまでも弾き語りが主体である。つまりギターソロの方ほどギターの音色を気にしていない。とはいえ良い音に越したことはないわけで、自身のラインナップでもその優劣はある。ただ、楽器なんだから同メーカー・同モデルでも個体差があるし、なによりも奏者自身にとって心地よい音であることがイチバンだと思っている。

当時の廉価版ギターは1万5千円くらいから5千円単位でクラス分けされているのが一般的だった。おいらの高校時代で3万円ってかなり高価なのに、音質と品質面で3万円以上のギターが推奨されていたのである。故にこのFG-301は多くの仲間が所有していたクラスなのだ。(※僕は定価2万5千円のエリート(タカミネ)ギターだった。)

言うなれば青春時代を飾ったサウンドであり、おいらにとっては今でも心地よい音なのである。(^o^)

 

おいらと音楽「アコギ編」⑤ YAMAHA FG-301[完]