11月つながりの会です | つながりの会のブログ

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広島市のデイサービス等のスタッフが月に1度集い勉強会等を開催しています。
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平成25年11月15日にありました、つながりの会です
講師は、いずみ整形外科クリニック デイケアいずみのほとり 
鳥居浩司先生です。

テーマは
通所ケアの役割は?ネライ目は?です。
果たしていったいどのような事なのか、ご紹介したいと思いますが、
生来の悪文、どうかあしからずお許し下さい。

まずは在宅生活を支える8つの領域
①健康
②ADL
③介護負担
④家事
⑤経済
⑥家族関係
⑦社会交流
⑧ストレス

以上が8つの領域です。

このうち特に通所ケアとして目指すべき事は
◎体調を良好に保つ事
◎ADLの自立の土台となる体力アップ
◎社会交流の土台となる、外に出かけていく事に慣れていただくこと

特に体調を良好に保つ事は最重要。では、在宅生活をされている高齢者の体調不良の主な原因はなんでしょう。

脱水と便秘です。


両者は密接に関連している状態です。


まずは脱水から。

この状態を早期に発見する事、未然に防ぐ事が重要な事ですね。

早期発見で重要な事は

○普段と違う様子にきづく
○送迎時の家族の話から異変を掴む
○バイタルサインのチェック
○デイルームでの様子を観察
○入浴時の身体状態を観察

ではどのような情報があればこれらに支援者が「気づける」のでしょうか?

脱水の兆候に気づく事
水分摂取の重大差を知る
まずは1日の水分摂取量を正確に知る
飲ませる技術を知る(飲ませる技術につては下記参照)
☆連れ飲み
☆好みの飲み物をしる
☆寒天・ゼリーの形で(咀嚼・嚥下等の障害状態の把握が必要)



脱水は全般的な活動性低下を招きます。
発熱(個人差はあるものの、37代前半の微熱が続く)
尿量減少
嘔気
皮膚の乾燥
以上が身体的事

続いて精神的な事
ぼーっとする・ウツラウツラ
うわごと・せん妄、幻覚
重度だと昏睡になってしまいます。       


これらの状態を招かないために通所ケアでは、日々利用者様の状態の情報収集が必要です。状態の変化に気づく事がとても重要なんですね。

先生はこの気づく事で重要なキーワードを教えて下さいました。


「この頃、何となく元気がないんですよ」


奥の深い言葉です。家族がこの言葉を言われる事もあるでしょうし、職員同士の会話でもあるでしょう。この小さな変化に「気づける」事が求められている訳ですね。



続いて便秘です。

ケアのなかで、脱水と便秘は天敵です。
便秘の解消も重要な事柄ですね。
 

便秘解消していくには
◎なぜ便秘になっているのか?原因を知る
◎下剤の特徴を知る
◎下剤を使わせないケアを

以上3点です。


以上の事をふまえて


便秘のケアの8原則+1です
①規則的な生活
②規則的な食事時間
③適度な運動
④決まった時間の排便(排便リズム)
⑤(おむつ使用者は)「座位排便」
⑥十分な水分摂取
⑦繊維の多い食べ物
⑧食物繊維飲料などによる補充

⑨それでもだめなら
 排便誘発の座薬・下剤・摘便


上記はどれも重要な事柄ではありますが、ご飯を食べなきゃ出るものも出ない訳で、どのように食べるかの環境設定も大切です。

安定した食事姿勢(体に適合した椅子・テーブルを。車いすでの食事はNG)
食べやすい食器、食材の配置
温かく、食べやすく、美味しいもの

低栄養になりやすい高齢者の予防にもなりますし、活動への意欲も湧いてきます。

脱水・便秘・栄養の3本柱(体調管理)をしっかり支えて、活動になります。




高齢者は色々な身体・環境・心因で低活動になりやすいと言われています。

3つの因子は負のスパイラルを形成します。

①老化。体調不良
②体の動きが悪くなってくる(歩きが遅くなる。動きが鈍くなる。転びやすくなる。)
③体力の低下(疲れやすくなる)
④行動範囲が狭くなる(閉じこもりがちになる)

この4つの過程をくるくる回る訳ですね。
多くの高齢者は身体的障害がある訳ではないのにこのスパイラルで俗に言う
「寝たきり」になってしまう訳ですね。

これを予防いていかなくてはなりません。

その方法として、先生は

「訪問ケア」と「通所ケア」のコラボを提案されています。


訪問ケアで
生活現場での解決すべき課題を探る事

通所ケアで
通所ケアでのプランに取り込み、改善を図る。
通所ケアの場で基礎的動作の練習を行う

訪問ケアで
通所ケアで獲得した動作機能を生活現場で実施練習で定着化

そして相互に
生活現場の情報提供。通所ケアでの情報提供。


このコラボが機能すれば効果的に生活現場(自宅や外出先)での「生活行為動作」を維持・向上できるのではないかとの事です。

かと言ってリハビリや機能訓練だけで実際に効果があるのかと問題提起されています。


「心が動けば体が動く」


これが本来の生活行為であって、本当の寝たきり予防になる訳です。
自然に体が動く事。「イチゴが食べたいから買い物に行く」

「いちごが食べたい」と心が動いて

「買い物に行く」と体が動く訳です。




「心」は人それぞれ違う訳で、「動く」動機も違います。

ここで重要事は、

「心」へ仕掛ける事です。

まずは、家からでる事。
デイサービスや通リハも3か月も通えば外出にはなりません。



ではどうするのか?


外出への動機付けが重要との事です。

◎あらゆる機会を利用して、気持ちを外へ向ける。
 何がその人の心を動かすかを探る
◎外出する事になれていただく仕掛け
◎他の人達との交流に慣れて頂く仕掛け
◎交通機関の利用に慣れて頂く練習
 最初のうちは手助けを


実際の事例として、麻痺のある方が、趣味だった釣りを再びする事が出来るようになったそうです。今では電動車いすを操作して釣り場までお1人で行かれるそうです。

「釣りが好き」「釣りがしたい」と「心」が動く事に気づけて、それを仕掛けていく訳ですね。
この取組をしはじめた時、サービススッタフが車いすを押して移動されていたそうです。



筆者も釣りが好きで、この人の心が分かる気がします。実は介護サービスに頼ると魚が釣れないんですよ。時間も無制限ではないし、潮の加減もあるし、天気や季節も釣果に影響します。ある程度サービスを調整してくれるんだろうと思いますが、魚はサービスに合わせくれません。

でも釣りがしたいですよ。魚が釣りたいですよ。

魚が釣れる潮と季節、時間に行かないといけないんです。

だから、「一人で行こう」と「心が強く動いた」と思います。

「遊びにまさる機能訓練なし」

成功する事例ばかりではないと思いますが、常に我々はその人その人の「心」
を「気づく事」「その心に仕掛ける事」が重要なんだとご教授頂きました。






最後に先生は

「ADL」の自立は人生の目標にはなりえない
「社会交流」デイケア・デイサービスではなしえない
 ケアには賞味期限がある

と言われています。

そして、「ネライ目」のまとめとして
◎体調管理は全てのケアの基本
◎訪問ケアと通所ケアの役割分担を的確に行い、ムダのない効率的なケアを
◎改善した身体機能を活用して、何か生活を豊かにできる事はないか、常に考える
◎外に出かけていくための仕掛けを常に考える

上記の事を常に考えて行動するが必要だと

今回のつながりの会を終了されました。



大変貴重な研修で、普段のつながりの会とは少し違った会でしたが、「心」に「気づく事」
「仕掛けいく事」、その過程はきっと、利用者さんと私達の「つながり」を形成する過程なんだろうと思います。


鳥居先生!!大変貴重な研修会ありがとうございました。


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