この街にだけ降る雨。
それに音はなく 真っ直ぐに落ちる。
それに少しだけ、しょっぱい。


「世界中の哀しみを全て抱いたような雨」
住む人々はそう名付けた。


どうしてだろう?

だって僕はずっと哀しい。
僕の哀しみは僕の心にしかない。
この哀しみは洗い流されない。

僕だけが傘を差して歩く。

これはきっと太陽の涙なんだ。
ずっと太陽の心は曇ってる。
ほら、だって空は薄暗い。

僕は君の哀しみを救えない。
届かないから。
声も、手も。

だから僕は
その涙の受け皿にはなれない。
怖くて、傘を差すんだ。


でも、ずっと待ってる。
泣き喚いていいんだよ。

僕は、ずっと待ってる。
君の涙が枯れるまで。


気が済むまで泣いたらさ、
今度は僕の哀しみを聞いてよ。

世界中の哀しみなんて
背負わなくたっていいんだ。

君は僕の、僕は君の。
僕たちだけが知る哀しみ。
それでいいんだ。


じゃあ、君にだけ話すね。