不思議な名前が気になった、沼田まほかるさん、初読みです。このパターンで読んだのは、野中ともそさん(→「おどりば金魚
」)に引き続き二人目です。
もともと何で借りてくる気になったのか、ちょっと忘れちゃったんだけど、たぶん新聞書評かなんか?
何だろうなー、不思議な小説を読んだような気がします。
中編三篇を繋ぐのは、ある一匹の猫の存在なんだけど、その周囲にいる人間たちは、それぞれに孤独を抱えていて…。
第一部は、遅くに出来た子を、妊娠六か月目に亡くしてしまった、信枝と藤治夫妻の話。彼らの家の前に捨てられていたのが、後にこの三篇を繋ぐことになる、猫のモン。
第二部は、父子家庭で暮らす、男子中学生、行雄の話。学校をさぼってうろつく公園で出会うのが、今では巨大猫に成長した、例のモン。行雄と、信枝たち夫妻の元にモンを捨てた有山アヤメが同級生という、緩い繋がり。
第三部は、信枝が亡くなった後の藤治とモンの暮らしの話。
出てくる人間それぞれが孤独なのだけれど、語られない闇の部分があるというか、得体の知れなさがあるというか。特に、少女、有山アヤメの得体の知れなさには、もう少し彼女のことを知りたい気もするなぁ。
「猫鳴り」とは耳慣れぬ言葉だけれど、藤治はモンがグルグルと喉を鳴らす様子をそう呼んだ。それはモンが気持ちを解いていく時に聞こえる音だったのだが…。
三篇通じて、死の匂いが濃厚です。落ち込んでいる時に読むと、ちょっと危険かも。なんとなーく後を引く感じがあるのだけれど、この独特の読後感、自分の好き嫌いも含め、文章化が難しいです。
↑ この二冊も気になります。なんか、タイトルが印象的なのかも。