「くらのかみ」/後ろの正面だあれ? | 旧・日常&読んだ本log

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流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

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小野 不由美
くらのかみ

どこか懐かしい表紙が印象深い、小野不由美さんの本です。タイトルは「くらのかみ」なんだけれど、講談社のミステリーランド・シリーズから出ている本書、表紙には「zashikiwarashi」と小さく書いてある。というわけで、勿論この「zashikiwarashi」も重要なキーとなる。表紙も美しいのだけれど、更に本の作りもとても丁寧で、ページの隅も角ではなく丸く落とされている、ちょっと珍しいつくり。

表紙を見て懐かしいな~と思い、とっさに佐藤さとるさんの「おばあさんの飛行機」を思い出したのだけれど、それもそのはず、この表紙は絵本「おばあさんの飛行機」を描いた村上勉さんが描かれていたのですね。おばあさんの美しい編み物のイメージ、この絵本、好きだったなぁ。

さて、本の内容に戻ると、こちらもどこか懐かしいイメージを喚起する。小野さんには、田舎シリーズ的なものがあるのかなぁ? 舞台は、「過ぎる十七の春 」のような田舎なのです。
ただし、こちらの主な登場人物の年齢はぐっと下がる。
耕介、真由、音弥、禅、梨花。最年長の梨花は中学一年生だけれど、ほとんどは小学生の彼ら。彼らはこの夏休み、ある事情があって本家のふるい大きな家に集まった。

夏休み、親せきの子供たちと過ごす日々といえば、肝試しや探検など、やることには事欠かない。実際、彼らの周りでは不思議な出来事が起こり、また本家の跡継ぎ問題を絡めて、彼らの親にも危険が迫る。にわか探偵となった子供たちは謎に迫るのだが?

子供のころ、田舎に遊びに行って、特に何もないのに親戚の子供たちと、ほけほけと遊んだ、そんな日々を思い出す物語でした。一度しか行ったことのない親戚のふるーい家なども、子供の頃の私にとっては忍者屋敷のようで不思議だったな~。

懐かしの村上さんの絵も(わたし、どこをどう勘違いしたのだか、この絵=佐藤さとるさんで覚えていたのだけれど)、随所に挿入されて、これまた懐かしさが嬉しかったです。うーん、ノスタルジー。

目次
1 死人あそび
2 座敷童子
3 毒
4 バケツリレー
5 行者沼
6 探偵たち
7 お葬式
8 ひみつの屋根裏
9 地蔵担ぎ
10 幽霊じゃない犯人
11 井戸で待つ
12 裏切り
13 誰も犯人じゃない
14 犯人
15 若干の仲間と多少の協力


講談社のミステリーランドって、あまり知らなかったんだけれど、気合入ったシリーズだったのですね。「かつて子どもだったあなたと少年少女のための―”ミステリーランド”「本」の復権を願い、第Ⅰ期刊行開始」との煽り文句付きで、巻末に紹介されておりました。小野さんのこの本は、確かに「かつて子どもだった」私のための本でもありました。

佐藤 さとる, 村上 勉

おばあさんの飛行機 (日本の童話名作選シリーズ)