「新本格魔法少女りすか」/きちきちきちきちきちきち… | 旧・日常&読んだ本log

旧・日常&読んだ本log

流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

以降の更新は、http://tsuna11.blog70.fc2.com/で。

西尾 維新
新本格魔法少女りすか
講談社NOVELS

西尾維新さんという人、ずっと気になっていたのです。そんなところ、古本屋でこの本を見つけたので、早速ゲット。

結論からいえば、そして、作中人物、『赤き時の魔女』りすかの口調を真似れば、
 この本をとっても面白く読んだのは、私だったの
面白かったよー。

目次
第一話 やさしい魔法は使えない。
第二話 影あるところに光あれ。
第三話 不幸中の災い。


『城門』の向こうは長崎、『魔法の王国』で育った水倉りすかは、その血液内にあらゆる魔法式を織り込まれている(&ある魔法陣も)。彼女が齢十歳にして、『赤き時の魔女』という称号と、乙種魔法技能免許を取得済みであるのは、そういうわけ。りすかの血は魔法式そのものであるからして、りすかは愛用のカッターナイフで自らを傷つけ、血を流す事により、魔法を発動出来るのだ。きちきちきちきちきちきち…。彼女の魔法の属性(パターン)は『水』であり、種類(カテゴリ)は『時間』。十歳の彼女はそんなわけで、時を前に進めることが出来る。つまり、余計な時間を「省略」出来るというわけ。

さて、りすかは『城門』を越えて、普通の人間が住む世界へやって来た。それは、自分の血液内に高度な魔法式を織り込んだ父、現在行方不明中である水倉神檎を追ってのこと。彼は偉大にして強大な力を持つ魔法使いであり、六百六十五個(半端なのは、一つをりすかにあげたから)の称号保持者でもある。普通の人間に『魔法』を教えることの好きな父親を追い、また、県外(ソト)の人間の「魔法使い」への目を考える内、りすかはいつか県外(ソト)の魔法使いを狩る側へと回っていた。魔法を裁く、『魔法狩り』のりすか。

そんなりすかを『駒』とするのは、りすかの同級生、供犠創貴(くぎきずたか)。ここではまだ明かされていないけれど、大いなる目的とやらのために、『魔法使い』使いを目指す彼。何やら尊大でもあるこのキズタカ。ある魔法使いを自分の手下にならないか?、と勧誘する時の彼の口調はこんな具合。

「魔法使いなんて言っても、奴ら全然魔法を使いこなせていやがらない―まるで、駄人間と同じだ。両者仲良し、駄人間(できそこない)と半魔族(できそこない)。だったら仕方ない、ぼくが使ってやるしかないだろう。ぼくが使ってやらなきゃ誰が使ってやるって言うんだい?」

とにもかくにも、りすかとキズタカの目的はある一面で一致した。りすかは父を探すため、キズタカは自分の『駒』を探すため。そんな彼らが出会う戦いとは?、の三本立て。

不幸中の災い」のみ、「戦い」というにはちょっと違うかなー。そして、俺様キズタカとりすかの関係に変化が現れる。

はっきりいって、キズタカのやっていることは、道徳的、道義的に見て、正しいことではないのだけれど、それでもやっぱり面白いです。それはこの先、キズタカがそのまんま俺様で尊大なままであったとしても、きっと変わらない。うまく言えないのだけれど、世間一般に正しいとされること以外をやる場合、そこには何らかの痛みを引き受ける覚悟がいる。キズタカの場合、その覚悟があるんじゃないかなー。りすかも可愛いよー。現在「3」まで出ているようだけれど、まだ完結してないんだよねえ。途中まで読んでも、欲求不満になるのかしらん。

今後のためのメモ。

・『城門』の向こう長崎には、かつて『核』が落とされた
・キズタカの父は、佐賀県警の幹部
・魔法使いは海を渡ることが出来ない
・りすかの従兄妹、水倉破記の称号は『迫害にして博愛の悪魔』、属性(パターン)は『水』、種類(カテゴリ)は『運命』
・『にゃるら!』の『ニャルラトテップ』ってナニ?

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。