- ヘルマン ヘッセ, フォルカー ミヒェルス, Hermann Hesse, Volker Michels, 岡田 朝雄
- 「蝶
」
岩波書店 同時代ライブラリー
美しく、感じの良い表紙なのだけれど、残念ながら表紙絵が出ません。本書の中にもふんだんに使われている、手彩色の銅版画からキアゲハと、これはヘッセのサインなのかな。
幼い日の思い出
蝶
アポロウスバシロチョウ―フィーアヴァルトシュテッテ湖畔の旅の一日
告白
アルプスヒトリ
葡萄酒の中の蛾
クジャクヤママユ
失望の人
インドの蝶
青い蝶
マダガスカルの蛾
晩夏の蝶
蛾
ある詩集への献詞
蝶について
晩夏
キベリタテハ
砂に書いたもの
三月の太陽
晩秋の旅人
編者あとがき―フォルカー・ミヒェルス
解説―岡田朝雄
訳者あとがき
蝶を切り口にヘッセを語る本書。ヘッセ自身による文は、エッセイから詩まで。これに、画家ヤーコプ・ヒュープナーの美しい銅版画が散りばめられるという作り。銅版画がないものは、訳者の判断により写真を載せたということだけれど、幾分かのっぺりしてしまう写真よりも、画の方が繊細で綺麗。
ヘッセは勿論、蝶が好きだったのだろうけれど、本書の内、結構なページを編者あとがきや解説が占めていて、編者や訳者も蝶には一家言ありそうですよ。
しかし、同じように羽のあるものだし、偏見といえば偏見なのだけど、蝶に比べれば私は蛾が苦手。解説によると、英語ではbutterflyとmorthという、蝶と蛾を別々に表現する特別な言葉があるけれど、ドイツ語では蝶と蛾を含めた「鱗翅類」という意味の言葉しかないそう(Schemetterling、Falter:久々にドイツ語辞書でも引っ張り出そうかと思ったら、どこかにいってしまっていて調べられず)。
アルプスヒトリでは、このヒトリガに狂奔する「虫屋」たちの姿が描かれるのだけど、私にはただの毒々しい蛾に見えてしまう・・・。蝶の美しさはまだ分かるけど(とはいえ、触ってあの鱗粉を手に付けたくはないけれど)、蛾のぼってりとした身体(?)や毒々しいまでのあの色使いにはやっぱり慣れない・・・。
ヤーコプ・ヒュープナーの絵は、私は十分美しく思えたのだけれど、解説によると、本書に載せられたものは、フリードリヒ・シュナック編『小さな蝶の本』及び『小さな蛾の本』から複写されたものであり、複製のため原画の美しさと精密さが出ていないとの事。本物はどれだけ綺麗なのかしらん。
というわけで、amazonで見つけた、『蝶の生活』。図書館で予約してしまいました(そして、例によって表紙が出ない~)。中身が楽しみです。
☆関連過去記事
「ヘルマン・ヘッセを旅する 」