ヘッセ/「ヘルマン・ヘッセを旅する」
テーマ:世界文化社ヘッセの本は大抵の場合、強い自我が描かれているように思うのですが、それが挫折の後、再生を果たしていないと意味がない。そういった意味で、「デミアン」なんかが好きで、「車輪の下」が嫌いだったのだと思います。今、両者とも手元にないので、ちょっとうろ覚えですが、「堕ちよ。その後に這い上がれ」というのは、「デミアン」、坂口安吾「堕落論」などに共通した精神だと思います。
で、今日はこちらの一冊。
写真・文 南川三治郎「カルチャー紀行 ヘルマン・ヘッセを旅する」
構成はこうなっている。
第一章「カルフ」~生誕の地~
第二章「ガイエンホーフェン」~執筆活動へ~
第三章「モンタニョーラ」~安らかな日々~
●絵画集「ヘッセの水彩画」
●アルバム「ヘルマン・ヘッセ グラフティ」
●「カルフ」ヘッセ所縁の地案内マップ
●「モンタニョーラ」ヘッセ所縁の地案内マップ
扉によると、『車輪の下』、『青春は美わし』などで知られるドイツの代表的な作家ヘルマン・ヘッセ所縁の地カルフ、ガイエンホーフェン、モンタニョーラを訪ねその足跡を精緻にたどる写真紀行とのこと。
美しく自然豊かなドイツの町、終の住処カサ・ロッサ、ヘッセの人生に関する記述。写真紀行だから直ぐに読み終わるかな~、なんて思っていたのに、非常に読みでがあり、意外と時間をとりました。自然や庭仕事を愛しながらも、放浪生活にも憧れるヘッセ。とんでもなく強い自我に生涯苦しんだ人なのかなあ、と思っていた。でも、ここに載せられている水彩画はとても穏やか。美しい風景、庭仕事、そんな生活の中で紡がれた物語だったのだと初めて知った。あ、ヘッセの顔、気難しそうではありましたが、中々端正なお顔でありました。
カルフに住むヘッセ研究家ウリ・ロートフス氏の言葉。
「ヘッセの生涯を顧みると、ヘッセのあまりにも激しい生きざまとそれを克服する勇気に感服せざるをえません。度重なる危機を乗り越えた末、辿り着いた晩年の豊かな境遇に感嘆させられるのは私だけではないでしょう。ヘッセは人生半ばからとても偏屈な人間性を持ち強靭な精神を持つ人になりました。それにもかかわらず、愛について、人生について、時には田園生活を送る中で、孤独に、孤高に、自身を探求し続けて生き抜いたといえるでしょう。」
ヘッセの次男ハイナー・ヘッセ氏の言葉。
「土と交わることは父にとり、書く事からの気分転換でした。ガーデニングは父にとって作品のための活力と構想を練るための時間だったのです。父は自然の中にある美しいものをいつも私に見せて『草むしりは退屈だっていうだろう?違うんだ。瞑想するにはもってこいだよ。無心にやれるから手は忙しいけれど、心は空いている』とね」
- 著者: 南川 三治郎
- タイトル: ヘルマン・ヘッセを旅する―カルチャー紀行
*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡下さい。











1 ■どういうわけか
ヘッセは一冊も読んだ事がないのです。縁がなかったとしか言いようがありません(笑)。
何より、学校の図書室になかったというのが大きいですね。あれば読んでいたはずですから(笑)。