とうとうこの時が来たのだ、
と思った。
久々の獲物は信じられないほど引いた。
ラインは出るばかりでとても巻き取れない。
コントロール不能だ。
馬鹿な、こんなことってあるか。
途中何度か「神様…」と呟いた。
河川シーバス釣りを始めて5年目。
まだ川のランカーにはお目にかかれていない。
70upの魚が年に1本とれるかどうか。
そんな体たらくの私だから、このとんでもない魚の正体は想像もつかなかった。
これは…人生最大のファイトだ!
き、切れるっ…
思わず覚悟した場面もあった。
途中からは正直運任せだったように思う。
それでも…魚は私から離れることはなかった。
夢じゃない。
およそ信じられないが、私は現実に釣り上げてしまったのだ。
57cm。
びっくりした。
膝は笑っていたが私の目は笑ってなかったはずだ。
「久々」「大雨による太い流れ」「浅い経験値」「シーバスIQゼロ」
多数の要素が魚を神格化させた。
ここのところエギングばかりでゆるゆるドラグ設定だったことも災いした。
そんな6月のある晩のこと。