皇居ラン | ガンになった妻がフルマラソンを走ると言い出した

ガンになった妻がフルマラソンを走ると言い出した

30代男。甲状腺癌の手術を終えた妻が、フルマラソンを目指すことに。そんな妻の走る日々をつづります。

「フルマラソンの練習といったら、やっぱり皇居ランだよねえ」

妻は常々、都内ランナーの聖地ともいえる皇居にあこがれていた。

 

しかし皇居は一周約5km。

病気になる前でも妻はそんなに走ったことはなかった。

内心不安を抱きながら、さる桜の日、夫婦で聖地に挑戦することに。

 

駅のコインロッカーに荷物と着替えを入れて、

いざ出発! 

 

が、皇居は二人のイメージしている姿ではなかった。

普段はランナーたちであふれているそこは、花見客であふれていた。

せっかくの皇居ランというのに、少し走り辛い。

失敗したかなと思って隣を見るが、妻はずっと笑顔だった。

「すごい気持ちいいね!」と軽快に、キロ7分を切るくらいのペースで走っていく。

 

空は穏やか。桜は心を奪い、久しぶりの夫婦二人のランニング。

妻は僕の不安をよそに、とても楽しそうだった。

 

しかし、半周くらいしたところで、隣で妻が「きゃああ」と突然悲鳴をあげる。「足が上がらない!前に進まない!」

やっぱりこのペースで5kmは無理なようだった。

 

冗談のようによろよろとしはじめる妻。

今度は僕が笑えて仕方なかった。