今年のお正月、

介護福祉施設に入っている

祖母のところに

家族で逢いにいきました。


もう今年で、

95歳にもなる、おばあちゃん。


子どものころの話や

若かったころの話は、

びっくりするほど、鮮明に覚えています。


でも、ときどき、

いろいろなことが

頭の中で入り混じるのでしょう。


「あらっ?」と思うことを、

言うのですね。


たとえば、

うちの父のことを

「あなたは八百屋さんで奉公していた、

○○さんでしょ?」と言ったり。


「わたしは、前田利家の奥さんだったのよ」

と言ったり。



でも、祖母が

どんな話をしても、

介護士さんたちは、にこにこしながら、

「そうなんだね~」と聴いてくださる。


祖母も、とてもうれしそうに、

楽しそうに話をしていました。



その祖母の表情を見ていた母が、


「“おばあちゃんたら、

へんな話をしないでよ!”とか、

“話がごちゃごちゃになっちゃってるよ!”とか、

そんなふうに言わなくて、いいだね」

とぽつり。


私も、そう思っていたところでした。





友人のIzumiちゃん

「『皆が自分らしく生きる』介護をともに学ぶ会」

という、「お話会」を

定期的に開催しています。


Izumiちゃんに、

このときの話をしてみました。


Izumiちゃんいわく、

祖母のように、

いっけん現実と

かけはなれた話をしているときは、

「いちばん楽しい時代の自分」に、

こころが戻っていることが多いそうです。



「そのお話を、自分も楽しみながら聴いて、

二人で、その世界を楽しんじゃうんだよね」

とIzumiちゃん。



そうか~。

それがIzumiちゃんのいう

「こころの会話」なんだね。





おばあちゃんが、楽しく話しをしていること。

自分の世界を楽しんでいること。

それだけで充分なんだね。


おばあちゃんの話は、どんな話も、あたたかい。

どんな話も、楽しいよ。

それは表情を見ているだけで、

充分に伝わってくるんだから。



今日も、ありがとう。

いつも、ありがとう。