久々のシュタイナー教育の授業 | 恵翠(けいすい)書道教室

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Aちゃんは、芸術センス抜群の優秀な塾生である。昨年は、県の書写コンで特別賞を受賞した腕前を持つ子である。最近元気が無く、お腹が痛いといっては学校を休みがち。学習塾もやめ、スイミングスクールもやめたという。お母さんの話では、ピアノの先生は「無理して練習して来なくても、Aちゃんの顔を見るだけでも嬉しい」と優しくしてくれるので続いているのだという。私もその先生に見習いたいと思った。先週、お腹が痛いからと書道塾を休んだ。12月は父の病状の件で、1月は父の死の件と母の病状の件で心にゆとりが無く、彼女の心の変化に気づきながらも何もできなかった。

そこで、シュタイナー教育研究家で友人の菊池澄子先生に来ていただき、Aちゃんだけのための特別レッスンを行ってもらうことにした。その日は、お母さんに連れて来てもらう形で、書道ではなくフォルメンの授業を試みることにした。


◆先生が詩を朗読する …秦 理絵子著『シュタイナー教育とオイリュトミー』(学陽書房) 139ページ~140ページ ※途中、グロッケンの美しい音色を入れる。


◆にじみ絵を描く(先生の描くのを真似て描いてもらう)

水をはじくタイプの画板に、画用紙を置き、スポンジに水を浸し、まず裏(つるつるした方)をまんべんなく濡らす。次に、表(ざらざらした方)をまんべんなく濡らす。

絵具(ウルトラマリンブルー、レモンイエロー、洋紅色 …独シュトックマー製ではないらしいが、天花地星の通信販売で購入とのこと)をそれぞれの小皿に取り、小ベラで溶かす。

ウルトラマリンブルーを水彩用平筆に取り、下の方を塗る。塗り終わったら、大びんに入った水で洗い、タオルでよくぬぐう。









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ウルトラマリンブルーを水彩用平筆に取り、上の方を塗る。空なので、両端は弧を描くように塗る。塗り終わったら、大びんに入った水で洗い、タオルでよくぬぐう。

レモンイエローを水彩用平筆に取り、真ん中を弧を描くように塗っていく。塗り終わったら、大びんに入った水で洗い、タオルでよくぬぐう。

ウルトラマリンブルーでリンゴの木を描く。塗り重ねることでやや緑色になる。

木の線の上に、洋紅色を薄く重ねて塗る。塗り終わったら、大びんに入った水で洗い、タオルでよくぬぐう。

ウルトラマリンブルーで葉を点を描くように塗る。塗り終わったら、大びんに入った水で洗い、タオルでよくぬぐう。

洋紅色でリンゴの実を点を描くように塗る。塗り終わったら、大びんに入った水で洗い、タオルでよくぬぐう。

次に、レモンイエローを水彩用平筆に取り、画面の上の方に光の筋を描いていく。塗り終わったら、大びんに入った水で洗い、タオルでよくぬぐう。


Aちゃんの絵はバランス感覚に優れ、詩の世界が美しく描かれていたと思う。ただ、リンゴの木が小さめで、幹が細めで、根の部分が薄くなっており、昔学んだバウムテストに当てはめると、気が弱っているのは明白だった。


◆グロッケンを弾いてみる

グロッケンの音色は、D E G A H D Eで、DとEは上の音と下の音がある。

表に青の丸、オレンジの丸、黄色の丸、緑の丸を描き、高い方のDとEは、小さい丸にする。裏にD E G A H D Eが書いてある。

それを好きな4枚を引いてもらい、裏返しにしてでた音名を、グロッケンで演奏してもらう。

これは、どういう組み合わせでも良い曲になるので不思議である。Aちゃんは、ピアノを習っていることもあり、難なく弾いていた。グロッケンの美しい音色に心が癒されるようだった。


◆リンゴを切ってみる

リンゴを腹の方から輪切りに切る。星のような形をしており、また詩の世界へと心が向けられた。さらに切り分け、迎えに来てくれたAちゃんのお母さんにも加わってもらい、みんなで食べた。


Aちゃんに笑顔は全くなかったが、絵をしっかり描き、グロッケンをしっかり弾いてくれた。その後で、私が元気が出ない時にどうするかということを菊池先生に話してもらい、自分の体験話もした。自分は、元気が出ないのに無理をして元気になることはできなかった。そうではなく、人との出会いによって元気が出るようになったと思う。だから、無理をせず、必ず良い変化が起こると信じて自分を責めずに気を紛らわすようにした方が良いと話す。菊池先生が、自殺した子供のことを涙を流し話してくれた。Aちゃんには、自分をこんなに思ってくれる大人がいるということが強く印象付けられたように思えた。

Aちゃんは絵を忘れていったが(新聞紙に包んでいたので絵とはわからなくなっていた)、すぐに絵を取りに戻ってきた。その絵に思い入れがあったのかもしれない。もしそうだとすると、良い展開に繋がるような気がしてならない。


高円宮杯は、毛筆と硬筆のどちらにも挑戦したいのだと言う。元気はなくとも意欲のあるお返事に少し安堵する。昨年、屈辱の銀賞ゆえに千枚書きに挑戦している男の子と、Aちゃんは、今年の高円宮杯で特に頑張らせたい塾生である。

とはいえ、結果主義となると、結果が悪いとやめていく子が出てくることを考慮しなくてはいけない。特に、前に良い賞を取った子ほど、やめていく傾向が強い。あくまで芸術に打ち込むためにコンクールに参加するのであって、賞などどうでもいいことと教えなくてはならない。

中学時代の私の担任が、以前美術を教えていて、成績を5段階評価の1か2を付けていた子がいたという。その子は、1か2の成績を付けられても絵を描くことが好きで、いつも不思議な絵を描き続けていた。何とその子が、世界的な画家となって先生の所に尋ねて来たのだった。先生は、そのことで絵を教える自信を失い、美術を教えることをやめて技術家庭のみを教えるようになったのだという。絵を描くことが優秀な子が誰一人プロにならず、どんなに成績が悪くても絵を描くことが何よりも好きだったという子がプロになったというのは興味深いケースではある。

私はコンクールで上位入賞させるノウハウは持っていると自負している。しかし、その子が芸術家になるためのノウハウとなると残念だが持ち得ていない。あくまでその子の意志なのだ。先ほどの中学の担任の例ではないが、コンクールで上位入賞をしたことなどはどうでもよくて、お習字を書くことが何よりも好きと答えられる子が最もその夢を叶えるのではないかと思うのだ。

だから、お習字が好きと言える子を育てることが大切であって、成績にはあんまりこだわるべきではない。これならシュタイナー教育の方針と一致する。今の所、その点では成功しているように思う。子供たちの前で欲しがられるような魅力的な書を書き、生の芸術的感動にできるだけ多く味わわせたいと思う。ただ、そのことを子供たちは理解できても、親御さんが理解できないケースが多く、子どもが続けたくても親御さんのプライドが許せないゆえにやめていくケースが少なくないことが残念である。

なので、もう少し現在展開している教育システムが落ち着いてきたなら、親御さんへのレクチャーの機会を増やしたいと考えている。教育とは、理論でもプランでもない。前もって決めたように行うというものではない。その子と正面から向き合い、その子の今の状態に合わせて、いかなる方法を選んで教えられるかに掛かっている。ゆえに教師の応用力が試されるのである。

Aちゃんに話を戻すが、彼女が何も話さなくなったこと、全く笑わなくなった理由については、守秘義務上、ここで詳しくは書くことはできないし、まだはっきりとはしていない。お母さんが協力的で、いろいろ情報を提供してくれるので助かっている。私なりにいろいろ今後の指導について思いめぐらしている。そして、必ず良くなると信じて指導に当たっている。子どもを全面的に信じることは、子どもとの信頼へと繋がり、その信頼感が奇跡を生むのである。

必ず良い道は見つかると信じている。




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