宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の俳優女性(25)が昨年9月に急死した問題で、女性の上級生の俳優や親会社阪急阪神ホールディングスの角和夫会長らが近く遺族に対し謝罪する方針を固めたことが26日、関係者への取材で分かった。ハラスメントの事実認定で主張が異なっていたが、阪急側が譲歩した形だ。今後、合意文書の締結に向けて詰めの協議に入るとみられる。

 歌劇団が昨年11月に弁護士による調査報告書を公表し、ハラスメントは確認できなかったとしたため遺族が反発。歌劇団は12月に公式サイトから報告書を削除し、今年1月にはハラスメントがあったこと自体は認めたが、遺族側が公表した15項目のハラスメントのうちどの部分を認めるかについては見解を明らかにしていなかった。

 遺族側は2月末の記者会見で、15項目のうち約半数は阪急側が否定していると主張。女性がヘアアイロンでやけどを負った件や、急死直前の上級生の叱責を巡って双方の認識に食い違いがあり、遺族側代理人の川人博弁護士は阪急側が「上級生の言い分をそのまま受け入れて守ろうとしている」と抗議した。

 

 

 宝塚歌劇団の宙(そら)組に所属する女性(25)が死亡した問題で、パワーハラスメントをしたとされる上級生らが遺族に謝罪する意向を示していることが、関係者への取材でわかった。遺族側は、上級生らの謝罪を求めていた。双方は合意解決を目指して交渉を進めている。

 昨年11月に公表された歌劇団側の報告書では、上級生らによるパワハラは確認できなかったとしていた。遺族側は暴言や叱責(しっせき)など15件のパワハラ行為があったと主張。歌劇団幹部や上級生らに対し、パワハラを認めて謝罪するよう要望していた。

 関係者によると、上級生らは女性が亡くなった事実を重く受けとめ、遺族に謝罪する考えを示しているという。

 歌劇団を運営する阪急電鉄の親会社、阪急阪神ホールディングス(HD)の角和夫会長(74)は遺族に直接謝罪する意向を持っている。関係者によると、角会長が上級生から預かった謝罪文を遺族に手渡す方向で検討しているという。

 双方は昨年11月以降、交渉を重ねてきた。遺族側が今年1月、「パワハラを認めない場合、交渉以外の手続きを検討する」と通告すると、歌劇団側は同月24日の交渉で初めて認めた。

 2月14日の交渉で、歌劇団側は多くのパワハラ行為を認める一方、一部行為については「本人が認めなかった」などとして否定していた。