泣かないで いつかの雨の降る日に 抱き上げて傘に入れてくれたね
「美しい」と言ってくれたグレーの瞳は もうないけれど 心では、見つめているの
泣かないで お母さんとはぐれて泣きたいとき 一晩中そばについていてくれたね
涙の頬を撫でてあげる肉球は もうないけれど 心はいつもそばにいるの
猫のわたしが病気になったとき 人間のあなたは気づいてくれた
はたらきもののゲンパツくんが病気になったとき どうしてだれも気づかなかったんだろう?
猫のわたしが死んだとき 人間のあなたは泣いてくれた たくさん人間が死んだとき
同じ人間のだれかさんは どうして泣きもしないんだろう
泣かないで ぬくもりをあげることは もうできないけれど
悲しまないで あなたの心のすみに 置いてくれるだけでじゅうぶんだから