『愚者のエンドロール』 | 月読草子

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米澤穂信氏の『愚者のエンドロール』を読みました。

『氷菓』に続き、<古典部>シリーズ第2弾です。
 
 

神山高校文化祭が近づき、古典部は文集の作成に追われています。

そんなある日、古典部部長の千反田えるが、珍しく遅れて部室にやってくると、2年F組で製作されているビデオ映画の試写会に部員たちを誘います。

気が進まないものの逃げる機会を逸した奉太郎を含めた部員たちは、連れ立って視聴覚教室へ。

そこで待っていたのは、感情を表に出さないクールな雰囲気の入須冬実。

早速ビデオ映画を見せられるのですが、ミステリーを扱ったその映画は、まだ未完成な状態で……
 
 

前作『氷菓』で鮮やかな謎解きをし、意外な才能を発揮した奉太郎。

その能力を見込まれ、心を病んで途中降板したビデオ映画の脚本家が想定していたであろう結末を、古典部の仲間とともに推理するはめになります。

またもや千反田が持ち込んだ問題で、省エネ生活が脅かされていく奉太郎。
 
でも、何度も振り回されていくうちに、彼の心にも少しずつ変化が現れてくるのですよね。

それは奉太郎自身も、『氷菓』の終わりで気づき始めている感じです。
 
 

そんな心の動きや、謎を追う面白さ、そして黒幕はあの人!?というようなフックがあちらこちらに用意され、読むものを惹きつけて離しません。

また、この作品にも前作同様、個性的な人がいっぱい出てきて、皆キャラクターがしっかりしているので、

「いるいる、こんな人!」

と大いに楽しめます。

そして古典部4人のそれぞれのキャラクターも、より掘り下げられていて、いいな、と感じたのが、そのチームワーク。

奉太郎の推理能力が物語を引っ張っていきますが、部員たちも自分が抱いた違和感を自分なりの言葉で伝え、イイカンジに軌道修正させていくのです。
 
 

私も省エネ派なので、いろいろ巻き込まれるのはタイヘン!とは思いつつ、こんな高校生活もアリかも♪とちょっぴりうらやましくなりました。

気分はすっかり神山高校の生徒。

さあ、次も楽しみダ~(`・∀・´)ノ