【読書の時間】急に具合が悪くなる(宮野真生子・磯野真穂 著) | 橋本治子の弁護士日記~仙台より~

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仙台弁護士会所属。

 

2019年に刊行された本です。

 

哲学者  宮野真生子さん
人類学者 磯野真穂さん


お2人の往復書簡が本になっています。

 

 


乳がんを患った宮野さんが、医師から

 

急に具合が

悪くなるかもしれない

 

と言われたこと

 


そのことをイベント準備のため
やりとりしていた磯野さんに

宮野さんが打ち明けたこと

 


これを発端として
往復書簡を始めることに

なったようです。


なお、この本が刊行される前に
宮野さんは亡くなっています。

 

 

 

磯野さんのほかの本を
以前、紹介しました。

 

 


紹介した後
「急に具合が悪くなる」

を読んでから4年経過し
改めて読んでみたいと
手に取りました。

 

 


 

宮野さんの病の話を中心にして
書簡は進んでいきます。

 


1回目に読んだときと今回とでは
この本から受けるメッセージは
だいぶ変わりました。


1回目に読んだときは
宮野さんの病状が
進んでいくこともあり
病になった人から

紡ぎ出される思いや言葉に

ただただ、読みふけりました。


今回再読して

この本は、病のあるなしは関係なく

人がどう生きるかについての本
ということを強く感じました。
 



 

 

宮野さんは、以前は
合理性や正しさを強く求める方
だったのではないかな
と思います。


急に具合が

悪くなるかもしれない
と医師に言われ


急に具合が

悪くなったときのことを想定し


いま何をすべきか/しないべきか
正しい選択をしよう
よい患者でいよう
人に迷惑をかけてはならない
不確定な未来を
できる限りコントロールしよう

そんな感じだったのではないかと。


人は誰しも等しく死を迎える
とは言っても
現実的に病になった人は
病状の悪化やリスクについて
考えずにはいられないと思います。


しかし
正しさを選ぶことに疲れ
かもしれない、に生活を侵食され

次第に考え方が変わっていく様子が

うかがわれました。

 


宮野さんの印象に残る文章

山ほどあるのですが

いくつか引用させていただきます。

 

 

    

未来の死は確実ですが、

しかし、なぜ、その未来の死から

今を考えないといけないのでしょうか。
それはまるで未来のために

今を使うみたいじゃないですか。
いつ死んでも悔いのないように

という言葉は美しいですが
私はこの言葉にいくばくかの

欺瞞を感じてしまいます。
(27頁)

 

 

    
(緩和病棟選びに疲れ果てたときのこと)
私たちは本当に合理的に「選ぶ」
ことなんてできるのだろうか...
それは合理的な知性の働きというよりも
快適さや懐かしさといった
身体感覚に近いのではないか
(50頁)

 

 

    
合理性で未来を予想し
自分を守ろうとしていました。
できるだけ乱されたくない。
自分だけでなんとかしたい。
そこで見失っていたもの、それは
世界への信と偶然に生まれてくる
「いま」に身を委ねる勇気
(96頁)

 





この世の中
合理性
効率性
エビデンス

論理性

といったものが

重要視されているように感じます。

 

私は法律家なので

どちらかというと

そういう世界にどっぷり属している

かもしれません。

 

 

○○になったらどうしよう

○○にならないようにしなければ

というふうに

まだ起きていない未来を心配し

正しさを追い求め

自らのふるまいを決めていく。

 

緊張や苦悩に満ちている。
そんなイメージ。
 
 
そのような世界からは距離をとり

「いま」に身を委ねる

身体感覚を重視する

 

 

この箇所が

病のあるなしは関係なく

人がどう生きるかについての本だ
ということを感じた所以です。

 

 

 

数年前に脳科学者の

ジルボルト・テイラーさんが出された

・奇跡の脳

を読み

なんじゃこの話は!すげええ!

脳科学者の実体験だから嘘じゃないよね⁉

と驚愕し

更に、その続編の

WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン)

 心が軽くなる「脳」の動かし方

も興味深く読みました。

 
 
最近は、ネドじゅんさんが書いた
・左脳さん、右脳さん
を読みました。
右脳さんのイラストが
実にめんこいニコニコ
 
 
脳科学者のジルボルト・テイラーさん
大阪出身オカンのネドじゅんさん
哲学者の宮野真生子さん
 
異なる分野のひとたちが
同じことを言っているように
私は感じました。

 

よかったら読んでみてください。

 
 
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