新年早々、家庭裁判所へ行く-相続放棄の手続きは3ヶ月以内にやりましょう!事情あれば伸長申請を- | 橋本治子の弁護士日記~仙台より~

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仙台弁護士会所属。

昨日1月4日から仕事始めの方も
多かったと思います。


私が所属している法律事務所は
毎年1月5日まで休みです🎌

2024年は1月5日が金曜日なので
土日月(祝)まで休みが続きます。

 


とはいえ
昨日は事務所に出て

少々作業し

その足で家庭裁判所に

行きました。

 


せっかくの休日に
何しに家庭裁判所まで行ったか?

 
 

相続放棄申述書
を提出するためです。

 


 

 

相続放棄ができる期間は

 

相続の開始があったことを

知った時から3か月



このことは
以前ブログに書いたことありますし
割と世間的に知られていること

と思ってましたが
そうでもないみたいです。

 

 

 

昨年、年末ぎりぎりに

相談にお越しになったAさん

 

相続が発生し

場合によっては

相続放棄することも
選択肢にあったようです。

 

ただ、ご事情おうかがいすると

相続の開始があったことを

知った時から3ヶ月経過していて
放棄は難しいですね...

となりました。

 

3か月という

期間制限があることは

ご存じなかったそうです。

 


これまた年末に

相談にお越しになったBさん

 

ご事情おうかがいすると

まだ3か月は経過していませんでした。

ただ、3か月ってあっという間。

相続放棄するという

結論は明快だったので

年明け早々、
取り掛かった方がいいですね

となりました。

 

Bさんも
3か月という期間制限は

ご存じありませんでしたが

このまま放置はまずいような気がする
と相談に来られました。
 
素晴らしい危機察知能力ですグッ
 
 
 

そしてCさん。

年明け早々に

3か月になるという方。

 

休み明けでも大丈夫でしたが

先日、石川県の地震もありましたし

あまりにギリギリだと

何か事故が起きたとき怖いので

自分が安心したくて

昨日、出してきた

という次第でした。

 

 

相続放棄
3か月の起算日

 

 

さて、この3か月という期間。

 

相続の開始が

あったことを知った時

 

からカウントしますが

カウントのスタート日(起算日)

は人によって異なります。

 

 

たとえば

 

(ケース1)

 

被相続人:親

相続人:子

 

という関係性で

同居していたのであれば

通常は、死去日から3か月

となるでしょう。

 

 

(ケース2)

 

しかし、同じ

被相続人:親

相続人:子

 

という関係性であっても

まったく交流なく

死亡したのも

ほかの親族から知らされたり

亡くなった方が暮らしていた町の

役場から連絡あって知った

という状況であれば

誰かから死去を知らされた日から3か月

となります。

 

 

(ケース3)

 

被相続人に子がいても

子が相続放棄すると

第二順位の父母

第三順位の兄弟姉妹が

相続人になります。

 

第二順位、第三順位の相続人は

先順位の相続人全員が相続放棄して

自分が相続人になったことを知ったとき

が起算点になります。

 

相続放棄をしたければ

そこから3か月以内に

手続きをとる必要があります。

 

ときどき

第一順位の子どもたち

第二順位の父母

第三順位の兄弟姉妹

親族そろって相談に来られて

いっぺんに放棄手続きとりたい

と言われることがありますが

順々にやっていかねばなりません。

 

 

3か月内に

相続放棄の手続き取るのが

難しい事情があれば

期間の伸長申請を行うことを

考えることになります。

 

 

 

 

 

3か月経過後に届いた請求書

 

 
被相続人の債権者から
いきなり請求書が届いて
相続人が困ることがあります。
 
 
債権者から請求書が届いたことで
初めて相続が開始していることを知った
ということであれば
請求書が届いてから3か月以内に
相続放棄の手続き取ればOKグッ
 
 
 
しかし
相続が開始していることは
知っていたけれど
負債の存在は知らず
3か月経過後に請求書が届いた。
 
負債があることを知っていたら
相続放棄したのに...
というときに
遅ればせながら
相続放棄できるか?
 
 
このようなケースに関しては
有名な最高裁判例があります。
 
 
 
(事案)
 
被相続人:父
相続人:子どもたち
 
被相続人は、定職につかず
ギャンブルに熱中
いさかい絶えず
妻子は家を出て
10年以上交流なし
 
その後、被相続人は
生活保護を受けながら生活
 
子どもたちは
被相続人が死亡したことを
死亡当日か翌日に知る。
 
死亡から約1年後
裁判所から通知が届いたことで
子どもたちは被相続人の
債務の存在を知り
すぐに放棄の手続きを取った。
 
 
 
(結論)
 
最高裁昭和59年4月27日
 
原則通り考えるのなら
債務の存在を知った時点では
死亡を知ったときから
3か月経過しているので
いまさら相続放棄はできない
となりますが
最高裁は相続放棄受理を
認めました。

 

 

 

 
(要旨)
 
三か月以内に
相続放棄をしなかつたのが、
相続財産が全く存在しない
と信じたためであり、
かつ、このように信ずるについて
相当な理由がある場合には、
民法915条1項所定の期間は、
相続人が相続財産の全部若しくは
一部の存在を認識した時又は
通常これを認識しうべかりし時から
起算するのが相当である。
 
 
要旨をお読みいただくと
分かるとおり
相続放棄受理が認められるには
要件があります。
 
  • 相続財産が全く存在しないと信じたこと
  • このように信じるに相当な理由があること
です。
 
 
この事案では
親子は10年以上没交渉で
亡くなった方は
死去時に生活保護を受けていました。
相続すべき積極財産は何もなく
葬儀も行われていません。
 

このような事実から

相続財産が全く存在しない
と信ずるに相当な理由があり

3か月の起算点は

債務の存在を認識した日から

と判断されました。
 
 

 

 

このほかにも

3か月経過後の

相続放棄受理が認められた

事案ありますし

どうしよう、困ったなあ

という事態になりましたら

弁護士にご相談することを

お勧めします。

 

 

3か月という期間制限があること

 

短い期間だからこそ「即」行動

 

を頭の片隅に

置いていただければと思います。

 

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