巡礼27日目〜霧の向こう側〜 | スペイン巡礼

スペイン巡礼

普通のアラサー主婦がちょっと冒険する話。
好奇心だけを武器に勢いで旅立ちます。

2013年6月9日

La Faba → Tricastela 25.6km


ぐっすり眠って起きた朝。外の雨はやんだかな?
キッチンで朝食をとっているとアンドレアも起きてきた。

7時前、まだ薄暗い中アルベルゲを出発。


超快適だった!ありがとう!!


ぼんやり明かりの灯るラ・ファバの村を抜けると、昨日に引き続きの山道。




小雨が降る中ゆっくり歩く。
視界も悪ければ道も悪い。





アルベルゲを出発して1時間半、ついに!



ガリシア州に入ったー!

フランスの端っこを出発して、スペインのナ バーラ州、リオハ州、レオン州と3つの州を超えてきて、4つめのガリシア州はゴールのサンティアゴ・デ・コンポステーラを含む最後の土地だ。

自分の足でここまで来れたことが信じられない。
でも絶対にサンティアゴまで到着するんだっ

私のテンションが上がったと同時に霧は濃くなる一方。
初日のピレネーよりももっと深くて視界が悪い。




アスファルトの道を進むと・・・

ついたー!
O Cebreiro(オ・セブレイロ)の教会っっ


この教会は巡礼路で一番古い教会らしい。

是非とも見学したかったが、到着したのが早すぎた。
まだ中には入れないよう。残念!



ちょいと休憩しようにも空いているのはこのお土産屋さんくらい。


霧に包まれた石造りの集落はなんだ物語的。


ただこの霧のせいか私がぼんやりしていたせいか、アンドレアとはぐれてしまった。
まだ近くにいるのか、先に進んでしまったのかわからない。
シンと静まり返ったこの場所で大声を出すのもためらわれる。



とりあえず先に進もう。


お!?

厳しい道を歩む巡礼。
今はしっかり整備されているこの道も、昔は人の手の入らない超・難所だったらしい。


昔と道は変わっても、この濃い霧は変わらないんだろうな。


このあたりで後ろから追いついてきたアンドレアと合流。

オ・セブレイロから30分くらい歩くとまた小さな集落に出た。



左に見える教会の見学をしていいそうなので中へ。


かわったカタチ。


この階段、石が壁に差し込まれてるだけという代物。
超怖かった~。


その後も山の中をゆく。






そしてまた教会。


雨の当たらない場所に入るだけでもホっとする。


止まない小雨の中をまた歩く。

1時間近く歩いたかな、今日初めてのバール休憩。

雨で重たく冷えたカラダにコラカオの甘さが染み渡る・・・

そしてここで思い返されるのが昨日のお支払い事件。(なんじゃそりゃ)

人はそれほど多くなかったけど私はなんかまためんどうなことになっちゃーいけないと思い2人分さっさと払った。

すると、アンドレアが「2人分払ったからこれで昨日の分はナシね」って。

え、私もついさっき2人分払いましたけど。

は!?じゃあ何、私たち4人分払ったの!?

可笑しすぎる。
アンドレアは、あいつどうなってんの?ってバールの兄ちゃんにキレているが、私は可笑しくて仕方なかった。
これまでも多々感じることはあったけど・・・スペイン人、大雑把。


そんなこともありつつ、私たちはまた霧の中へ。





一時は霧が濃すぎて数m先も見えなかった。
足音とウェアがこすれる音だけが聞こえてて、相棒と少しでも距離があくと森の中にひとりきりになってしまったみたいだった。


結局一時間くらい?はそんな状況だったのだけど、ある地点から霧がさーっと薄れて、視界が一気に広がった。



霧の中の緑もまた良し。


よく見渡すと前後に他の巡礼も何人かいた。
ここまでお互いの姿さえ見えてなかったのに!!
声をかけ合いつつ草原の中を抜ける。



え!?こんな中洗濯物干してたん!?


この牛、なんか筋肉隆々。


この傾斜で生活してたらそうなるか。



緑のトンネルへ。
この辺は雨が降ってなかったのか?地面が乾いている。


モリナセカを過ぎたくらいかな、こんな緑生い茂る道が増えてきた。
ただひたすら、まっすぐな道を歩き続きてたのがウソみたい。



午後2時半、ようやく、ようやく晴れた。
空が晴れると心の緊張もほぐれる気がする。






面白い木。近くにいた巡礼が解説してくれたけど、さっぱり理解できず。


この日ゴールにしたTria casteraの村にはアルベルゲもバールも沢山あり、居心地が良さそう。

私たちが選んだ公営アルベルゲも広々とした庭があってなかなか快適。
ただ雨のせいで草の上には寝転べそうにない。



真ん中の小さく見える建物が今日のアルベルゲ。

このアルベルゲでも小さい出来事がぽつぽつ。

まずはシャワールームにて。入ったとき、私の目はテンに。

シャワールームは男女別にはなってるものの、シャワーひとつひとつの仕切りがなかった。
こんなの初めてだ。


日本人の私には初対面の人に裸を見られるのも別に苦痛じゃないが、イタリアの女の子は信じられないんだけど…と固まっている。
そしてシャワーを諦めた。

そんな人が何人もいたのか、私がこのシャワールームにいる間だれも入って来ず、順番待ちしてる人もいなかった。


お次はシャワーのあとの洗濯。
洗濯機を使わせてもらおうとしたのだけど、1回分の料金2.1ユーロの10セントコインが足りなかった。


困って受付にいたオスピタレロに両替をお願いすると、私から1ユーロを受け取らず10セントコインだけくれた。ん?
スペイン語で最初なんて言っているのかわからなかったのだけど、どうやら手持ちのコインが両替するだけ足りなかったみたい。

受け取っていいものか迷っていると、近くにきた英語のできるお兄さんが「ドナシエーションだよ」って。
なんと!

とりあえず洗濯機に服を放り込んだままだったのでありがたくそのコインを使わせてもらうことに。

すると・・・財布の中をよく見るとあるではないか、10セントコイン!
あちゃー。

急いで受付に引き返し、コインを返して謝る。
ごめんなさい、もう1回財布をみたらちゃんとコインがありました。

すると、オスピタレロのおじさんとさっきのお兄さんが
「オージャパニーズ!!」とかなんとか?って、ものすごく大きなリアクションで喜んでくれた。

なぜ!?!?


お兄さんが、まさかこのコインが返ってくるなんて思わなかったんだよって。

いやいや返すでしょ・笑


夕方も5時をまわり、シエスタが明けたであろうスーパーに買出しに。



トリアカステーラをちょっと上から。のんびり散歩が気持ちいい。


スーパーでうろうろしていると、なんと焼きたてのバケッドが売り場に届いたばかりだった。

こんなの初めて!!

スーパーからの帰り道はあったかいバケッドの温もりが手に伝わってきて、なんとも言えない幸せな気持ちに。


40センチはあろうか というバゲット。
外はパリっとしてて中はふわふわで。
今まで食べたパンの中で一番美味しかったかも。

いつもなら半分食べれば十分なんだけど、この日は昼抜きだったこともあって完食。
これで1ユーロもしないなんて有り得ない安さ。


早い夕食を共にしていた韓国のおじちゃん・おばちゃんグループが、この近くの教会でミサがあるんだって教えてくれたので私も行ってみることに。


どこにこんなに隠れてたんだ!?
っていうくらいたくさんの人が集まってきている。


そんなに広くない教会の中はすでに人でいっぱい。


ミサはいつも通りの 雰囲気で始まったが、何かが違う。
今日は神父さんが2人 いる。

ひとりの神父さんがスペイン語で、そのあとでもうひとりが英語で話してくれる。

私にはどちらもよくわからないが、その英語を話してくれている人の話が面白いみたいで所々笑いが起こってる。


そしてミサの途中で事件が(笑)
巡礼者のためのミサでは、巡礼者の代表?みたいな感じでたまにミサの参加者の中から何か文章を読む人が選ばれてるみたいなんですが、
(未だに流れがよくわかってません。。)


今日はその段階になって神父さんが、「ハポン!!ハポネッサ!!」と言い出した。
ハポンはスペイン語で日本。
えッと思ってると、隣に座ってた女性が、あなたのことよ !前に出て!と。

日本人は私だけみたいで、よく分からないまま祭壇の上へ。

私の他にもいろんな国の人が呼ばれている。

そして、なんと神父さんは日本語バージョンのミサの言葉の書いた紙を取り出して私に読めとマイクを。。。
えらいことになった。
しかもトップバッターか!


私はみんなの前でなんとかそれを読み上げ、アーメン、とみんなが言って。
その後、他の国の言葉でも次々と同じ内容と思われる文章が読み上げられていく。
さっき一緒に夕食を食べてた韓国のおじちゃんもいた。

せっかくの機会だったのに、もう必死すぎて自分の話した内容は1ミリも覚えてない。
ただ、顔見知りの巡礼のみんなからは、エリコブラボー!!ブラボー!!
って言ってもらえてひと安心 。


ミサの最中に、神父さんが小声で、日本語でアディオス!はなんていうの??って。
「さようなら」ですよ。

フレンドリーな神父さんのおかげで少し落ち着き、改めてもうひとりの英語版を話している神父さんをよくみると・・・

さっきアルベルゲで通訳してくれたお兄さんではないかっ
巡礼じゃなかったんかーい!


そしてミサの最後、神父さんが各国の言葉でアディオス!を言ってくれていた。
もちろんさようなら、も入ってました。
私だけのために、、と思うとちょっとウルウル。。。


無事ミサも終わり、ハイ解散という頃になって、まだ祭壇にいた私はえらいことに気付いてしまった。

財布、パスポート、クレデンシャルなど貴重品を全て詰め込んで今まで肌身離さず持ち歩いていたバッグを最初に座ってた椅子に置きっぱなしにしてしまっていたのだ。


ヤバイっっっ


しかし壇上ではあの「さよ うなら」の神父さんが、せっかくだからここに何か書いていって、、とニコニコと立派な装丁のノートを差し出してくれている。


断れーんっっ


内心そわそわしつつもメッセージを書いて椅子に戻ると、その椅子にはちゃんとバッグが残っていた。

私の隣に座ってた女性が、帰らずにバッグを見張っていてくれたのだ。
格好からして巡礼ではなく地元の人っぽい。
ムチャグラシアス!!!

デナダ~!(どういたしまして)っておばちゃんはにこにこ帰っていった。


私はなんて運がいいんやろう。



貴重な経験と素敵な思い出をもらった教会。
いつの間にかすっかり青空に。


教会を出 たあと もまだ胸がドキドキしていた。

私はひと前で話すことがものすごく苦手なのだ。

ここにきてヤコブ様からの試練でしょうかね?
(聖地・サンティアゴ・デ・コンポステーラはキリストの最初の弟子・ヤコブを祀っているのです)



教会からアルベルゲへ帰る間の道に『残り130k』の指標が。


そうか、800キロあった道が残り130キロか。
もうどこまでだって歩けそうだ。





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