巡礼16日目〜こんな日もあった〜 | スペイン巡礼

スペイン巡礼

普通のアラサー主婦がちょっと冒険する話。
好奇心だけを武器に勢いで旅立ちます。

2013年5月29日

Boadilla del Camino → Crrion de los Condes 26.1km


今朝もやっぱり喉がものすごく痛い。
本当にどうしたものか・・・

他の人がごそごそ動き出したのをみて自分も身支度。

アンドレアと一緒にアルベルゲの朝食。
最近は2人してコーヒーからココア派に転向している。

アンドレアはコラカオ(スペインのココア)に激ハマりしているため。
私はトイレが近くなるのを防ぐためだ。

巡礼をしていると望む場所にトイレがあるとは限らない。
トイレどころか村や店さえ何十キロもないような道が続く。

そういう場所ではどうするのか?

こそっと草むらで用を足すしか・・・
実際そうしてる人もいるが、私には無理だ。

巡礼前に一番心配だったのがカミーノのトイレ事情だったくらい。
実際に来てみると思ってたほど悲惨な状況ではなかった。
便座がなかったり、あっても座るのに抵抗があったり、紙がなかったりすることはよくあったけれども。

とりあえず、あんだけなんっにもなかったメセタをクリアしたのだ。
風邪ひいたのがなんだ。お腹を下すより百倍マシ。


さ、気合いを入れなおして今日も出発です。

私はこの日の朝の景色を、一生忘れないと思う。





いつもより少し早く出発しただけ。
それだけで光や空気が全然違う。





私の写真なんかじゃあ、あの空気の100分の1も伝えられないのがもどかしい・・・!!

なんだか物語の中に迷い込んだような気分で歩いていると、川沿いの道に出た。



地図には"rio"(川)ではなく"canal"(運河)とある。
運河ってことは人工的にこれを造ったってこと?すごいな~。


なんか変わった水門。だいぶ昔につくられたんだろーな。

この水門を超えて間もなくフロミスタの村に到着。
気がつくとすっかり周りも明るくなっていた。

村の中心のバールでショコラテを注文。
コラオカも美味しいけど、やっぱりチョコを溶かしたような濃厚なショコラテは最強。
チョコレート好きにはたまりませんっっ

あー、今日も幸せ。



バールの近くにあったかわいい教会。

巡礼路からやや離れた場所にあるものの気になって立ち寄る。


サン・マルティン教会、という大変歴史のある教会らしく、写真を撮る巡礼がちらほら。
内部も見学してみたかったけどまだ開いていなかった。残念っ



フロミスタを出たら、今度はコンクリート沿いの道。


青空に型抜きされた巡礼が待つ橋の下は・・・


高速道路ー!!

なんかもう、自分のいる場所がなんなのかわからんなるわ。

なんて思っているとこの高速道路を超えた後から事態は一変。
またもやまっすぐ続く道が現れ、風!風!風!
なんじゃこりゃー!
もう無心で歩いた。


唯一癒し。

2時間くらい歩いたところで次の村。



教会の前の広場で小休憩。他の巡礼と、すごい風でしたね~なんて言いながらのんびり。


ここにも巡礼像。2004ってことは聖年に記念して設置されたのかな。

聖年とは・・・6年、5年、6年、11年っていう周期で巡ってくる年。聖年に巡礼するとすべての罪が許されるとされている。サンティアゴ・デ・コンポステーラでも聖年のみ開く門などがあるらしい。ここ最近では1999年、2004年、2010年。次は2021年。
聖年は巡礼が倍増するらしいです。

重い腰を上げてまた歩きだすと、ここで日本人夫婦にばったり。

おぉぉー!実は昨日も日本から来た夫婦1組と女性のひとり旅の方に出会ったのだ。
同じ国から来てるってだけで親近感。

今日お会いできたI上さん夫婦はかなり旅慣れているようで、スペイン語もできず下調べもろくにしていない私に驚きつつも、若いときにカミーノにチャレンジできるってうらやましい!今後の人生にもいい影響になるんじゃない?、って言ってくれた。本当にそうだといいな。

その後もご夫婦にいろんな話を聞きながら一緒に歩く。
話しているだけでこの強風の中も少し気が楽になるというもの。
本当にありがとうございました。

ここまでの道のりですっかり風と風邪にやられていた私は一旦ふたりを見送る。
元気をもらったから私もがんばるぞー!



これでもか!っていう巡礼マーク。
風に負けてヒッチハイクを試みる人もいた。気持ちはわかる。


右手に町。そしてなんだか目立つ教会らしきものあり。

これは立ち寄るしかないでしょ。
まぁ、休憩したいのが第一だけど。


昨日見たのと同じ木。やっぱ桜みたい。




大きくて立派な門の教会に辿り着くと、先ほどのI上夫妻が見学を終えて出てきたところだった。
すごい良かったよ~っていう言葉に期待しつつ私も入れ替わりで入る。
入場料を払って教会の中に入ると薄暗くてひんやりした空気が気持ちよかった。
立派なレリーフに見とれながら見学していく。





サンタ・マリア・ラ・ブランカ教会という名前だった。
巡礼者以外にも観光客のような人も結構いたから、有名な場所なんだろう。


教会を出たところでひとりのドイツ人の男の子に話しかけられる。
すごい満面の笑みでハーイ!ってされたから、私も一度会ったことある人に違いないと思って近寄る。

ブルゴス以来だね~。あのアルベルゲに泊まってたよね?
あのとき一緒ににいた友達はどうしたの~?
次々飛んでくる質問に答えつつ、私はいつ会った人だっけと真剣に記憶を辿っていた。
すると彼が、

さっき君と同じ国の人を沢山追い越してきたよ!!って。
あ、さっきの韓国人の学生グループ・笑
私日本人だよーっていうと、あ、ゴメン!人違い!君にそっくりの韓国の女の子を知ってるんだよ、って。

実はこれ言われたの2回目。
今カミーノを歩いている人の中に私そっくりの韓国女子がいるらしい。
1回目教えてくれたのは日本の方だったから本当に似てるんだと思う。
会って話してみたいな。


そして午後1時半、永遠に続くかと思われた道が遂に途切れた。今日のゴールの町、カリオン・デ・ロス・コンデスに到着。

アルベルゲどこにしようかな~とウロウロしてると先に到着していたアンドレア発見。
同じアルベルゲに収まることに。


教会と隣り合ってるアルベルゲ。


素敵なアーチ。


すると、このアルベルゲで出迎えてくれたのは、シスター!!
初めて本物と話せたー!!

『天使にラブソングを』に出てくるような人がすっごい笑顔で迎えてくれて、冷たい飲み物まで出してくれて。
なんか感動~っっっ

レセプションでもうひとり日本の男性が先に入ってることを教えてもらった。
昨日、今日ですごい確率で日本人に会えるなぁ。

そして夕方の5時からはミーティング、そのあとはミサがあるから参加してねって。
ミーティングって何!?ここで!?


部屋は二段ベットがぎっしり並んでたけど昨日と違って明るい雰囲気でちょっと安心。
ただわりと広いアルベルゲだけどシャワーブースは2つだけ。
すでに行列が。

けっこうかかりそうかな~って待ってると、すーーっごい美女がやってきてレセプションの横にもシャワーあるよって結構オープンだったけど私は問題なかったわって。彼女が問題ないなら当然私も問題ないはず。さっそく行ってみるとシャワーブースの横が靴箱ってだけでガラ空き。ラッキー。


シャワーの後はのんびりしつつ買い物に出たもののシエスタタイム・・・
なーんにも買えません。笑


だれもいないセントロ。

ゴーストタウンのような町で、底をつきかけた現金の補充のためにATMを探しているとふらふら歩いている男の子発見。
ソンイー!!どうしたの?
彼は今この町に到着したものの目に付くアルベルゲはどこも定員オーバーだったらしい。私の泊まってたアルベルゲに戻ってみるも、コンプリート。
ソンイは、ん~どうにかなるか~とアルベルゲ以外をあたってみることにした。
それなら問題なさそうだ。
さっきふらっと歩いただけでもホテルやオスタルがちょこちょこあった。


そうこうしているうちに夕方の5時。
謎のミーティングタイムがやってきた。

わざわざシスターがeriko~!時間よ~!って呼びにきてくれた。
なんて素敵な笑顔・・・これは行かなくてはなるまい・・・!

狭いレセプションの一角はすぐに巡礼達でいっぱいになった。
それでもここに泊まってる人の半分くらい?
いつの間にかシスターは3人に増えておりミーティング開始。

配られた用紙は歌の歌詞のコピー。
いつの間にかシスターはギターまで持ち出してきており、みんなで歌でも歌うのかな~って、思ったら、なんとシスター

「それでは巡礼者の皆さん、自己紹介と、このカミーノを歩いている動機やそこに込める思いを、なんとかかんとか…。ではあなたから・・・」

ときた。

え!え!この大勢の前で!?
ひぇー!!

緊張しつつもみんなの話を聞いているのは興味深かった。

ロマネスク建築に興味がある人、定年後のチャレンジの人、夏季休暇だからという人、
友人が歩くから自分もなんとなく歩くことにした人、、、

ただ単に自己紹介と動機だけについて話す人は少なく歩き初めてからの自分の心境や道に対する感謝の気持ちを熱く語る人多数。

ぽかーんとしていると自分の番がまわってきそうになった。
人前で話すだけで苦手意識があるのに外国語で!?
スルーしてしまえと軽く次の人に回そうとしたらシスターに、eriko!大丈夫♪チャレンジよ♪っと。や、やるしかない・・・


一斉に向けられた視線に顔がどんどん赤くなっていくのを感じたけど、この2週間道すがらいろんな人に話したように話せばいいと思うと少し気が楽になった。途中、おまえ中学生か?と自分で突っ込みたくなりつつもなんとか話しきった。
よ、よかった・・・

その後はみんなでシスターの歌を聞いたりみんなで歌ったり、、、とつつがなくミーティングは進んでいったんだけど、

このミーティングの最中にちょっとした出来事があった。
それは些細なことだったんだけど、私はすっごく嫌な気分になった。
せっかくみんなで過ごしてる楽しい時間だからとしばらくはイライラする気持ちをごまかしてた。
それでも隠してた自分のコンプレックスが容赦無く刺激されてるのが分かって、どうしてもその場にいられなくなった。

ミーティングはまだまだ続いていたけど、私はこっそり自分のベッドルームに戻った。
頭まで寝袋に入ると、なんかもう自分が情けなくなって恥ずかしい話だが、我慢できずにボロボロ泣いてしまった。
ここまで、楽しい楽しい幸せー!だけでやってきたこの旅が辛くなった。
下の階から聞こえてくる楽しげな声を聞いていると自分は一体何をしてるんだろう、と。

しばらくみの虫のように寝袋に入っていると、ミーティングに参加してなかったアンドレアが買い物に誘いにきた。

ちょっと疲れたけん寝とくね、って言うと真っ赤な目の私をみて慌てて、わかった、と出かけていった。

と思ったらすぐ戻ってきて、eriko切手ほしいって言ってなかった?昼間散歩したときにタバコ屋(切手はタバコ屋と郵便局でしか買えない)を見つけたんだけど、今行かないとまた買いそびれると思うんだけど、私も買おうと思ってて・・・と。

いつもクールな彼女が精一杯気を遣ってくれているのがわかって、いつまでもこうしてるわけにもいかん!と、みの虫脱出。
ちょっと待ってー!っと2週間ぶりにファンデーションを使ってひど過ぎる顔を修正。
まさかこんな風に役にたつとはな。

アンドレアは、大丈夫?って聞いただけで理由は聞かないでいてくれた。
しばらくは黙って一緒にいてくれて、私が落ち着いたところでいつもより明るく、沢山話してくれた。

どんどん話す彼女といると、いい年した大人のくせにボロボロ泣いてたところを見られた自分が急に恥ずかしくなってきて私もいつも以上に話した。


切手を買って、町を散策して、いつもどおり写真をとったり迷子になったり。
さっきまでの嫌な気持ちはまだくすぶっていたけれど、スーパーで食糧調達する頃にはまた前向きな気持ちが戻ってきていた。私は私。



いい感じだった美術館へのアプローチ。


アルベルゲに戻るとみんな夕食タイムで、私もテープルに混ぜてもらった。
バゲッドとサラダでサンドイッチにしていると、近くで食事をしていたフランス人のオジサマ方からハムやらパスタやらワインやらがどんどんやってくる。
気がつくとものすごく豪華な夕食に。

家族の写真や動画を見せてもらったりして和やかな雰囲気の中にいたらさっきのミーティングがもうだいぶ前の出来事のような気がしてきた。



復活の散歩道。 Danke!


早朝の最高に幸せな気分から、夕方の滅多にないほどの落ち込み、そして今の穏やかな気持ち、本当に怒涛のようなめまぐるしい1日だった。

巡礼もいよいよ後半に突入。
明日からも歩くぞー!!



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