ゲートを通るとすぐに眼下に広がる絶景が現れた。わー、という歓声も聞える。
遠く山中湖や河口湖が見える。これを見るだけでも富士山5合目にくる価値があるかもしれない。

 

 

日曜日だったので国内外問わず親子連れが多く、和気あいあいとした雰囲気がほほえましい。
気持ちに余裕があるのは、道が広くなだらかな下り坂が続いているせいだった。
(ちょっと待ってよ、これって帰り道は上り坂ですよね。無駄に下らせないでください)と心の中で悪態をつきながら、歩きにくい砂利道を下っていく。
なぜ富士山が苛酷かといえば、この深い砂利道のせいだともいえる。
火山灰が固まって軽石になったような砂利が永遠に続いていく。足がズルズルすべり、バランスをとることで非常に疲れるのだ。
歩いていると、パッパカパッパカと馬に乗った登山客がゲートに向かって進んでいくのにすれ違った。こんなところで馬に乗れるんだ、とビックリする。
最初は物珍しく思っていたが、何度もすれ違ううちに、いい迷惑だと思い始めた。
馬が通ると、すごい砂埃が舞うのである。
その日は風も強く、埃まみれになりながら歩いた。こういう時にサングラスが欠かせない。日よけ、ほこりよけに私は大きめのサングラスを持参していた。
youtubeを見て勉強していて良かった。

40分ほど歩くと6合目に辿り着いた。

ここからが本格的な九十九折りの登山道のスタートだ。

規制がかかっているせいか、程よい登山者数である。

 

天気が良かったのでいつでも素晴らしい景色が見られる。

遮る木々が無いのも特徴。

近所の山では森林浴も楽しめたが、富士山は火山だけあって剥き出しの登山道だった。

それだけに直射日光が大敵になるが、雨よりはずっといい。

坂が急になっていく。

頭痛は無かったが、頭がボーッとする感覚はある。それも高山病の一種の症状だそうだ。夫に、とにかくゆっくり登ってほしいとお願いするが、彼はゆっくりの意味が分かっていない。

先に進んでは私を待つスタイルで登山は進んで行った。

                          ・・・つづく