私は昔から苦労はするもんじゃない、という信念をもとに生きてきた。
苦労は買ってでもしろ、というセリフもあるが、苦労しているという意識を持つことがあまりいいことだとは思わなかったのだ。
その私がなぜ富士登山に興味を持つようになったのか…
ニュースのせいだと思う。
外国の方がたくさん富士山に登っているそうだ。
富士山と言えば日本の象徴。中年を過ぎたころから、いつか私も富士山に登るべきだな、という意識が芽生え始めていた。
当時は子育てや介護も忙しかったのでその気持ちは封印されていたが、手すきになった最近、またムクムクと当時の気持ちがわき上がってきた。
今を逃すと身体がついていかなくなって、結局行けなくなってしまう。
今しかないのだ。
幸いにも夫がここ数年アウトドア派になってきて、富士登山に協力する姿勢を示してくれた。私一人では敢行するのは無理だったと思う。

以前ブログで書いたのだが、まずは宿の確保から。
人気の富士登山なので、そこからが大変だった。
吉田ルートには14件の山小屋がある。(初心者には吉田ルートを勧める人が多い)
ゴールデンウィーク中に、今年は富士山に行けるかな?という話が出始めて、宿をネットで検索したら、8合目の山小屋の週末がらみの予約は見たところ全部埋まっていた。
遅かったのだ。
7合目の山小屋に1件だけ空きがあった。(7合目付近の山小屋は3件)
仕方がないのでその山小屋に予約を入れた。でもまだチャンスはあった。
元祖室という山小屋だけ、5月22日からネット予約スタートだったのだ。念願の8合目の宿である。
当日は2時間繋がらない状態が続き、それでも何度もチャレンジをして、なんとか予定日を変えて元祖室の予約に成功した。

そして申し訳ないが7合目の宿はキャンセルした。
今年から吉田ルートでは入山規制が敷かれ、通行料が一人2000円(ネットで日付を指定して先に支払える)、上限は1日4000人までという決まりが出来た。
せっかく宿が取れても入山できなくては困る。7合目を予約した段階ですぐにネットで二人分4000円を支払っていた。が、それも水に流し、新たに4000円支払う。
今から思えば、宿が取れていれば入山させてくれないことは無かっただろう。そちらの支払いはギリギリでも良かったかもしれない。
とにかくそう簡単には富士山には登れない、ということを実感した出来事であった。

近くの山に予備登山で2回練習し、あとは天気の心配と、高山病にならないように祈るだけ。梅雨の時期なのでお天気は半分あきらめていたが、天気予報がどんどん好転していくのが嬉しかった。
そして当日、見事に晴れて、私たちは朝5時半に家を出発し、富士山に向かった。

 

 

                     ・・・つづく