今年に入ってから、久しぶりに母の友人Kさんから電話をもらった。
このKさん、母が独身の頃からの付き合いで、まるで親戚のような関係が続いている。
私の両親が東京を引き上げてこちらに来てからも、何度か行き来をしていたが、さすがにここ10年くらい電話だけの付き合いになっていた。
「もう本当に最後だと思うからどうしてもせっちゃん(←母の名前)に会いたい、って言っていたら、私が連れて行ってあげる、って末っ子の妹(Aさん)が言ってくれたの」という。
その末っ子さんももう75歳くらい。
どこかいい旅館ないかしら?というので探そうと思っていたら、また電話が来て、お姉ちゃんも妹もみんなせっちゃんに会いに行きたい、と言い出したそうで全部で4人になったそうだ。お元気な姉妹である。
母は若いころにその親友の家によく遊びに行っていて、姉妹たちとも交流していたそうだ。

足が不自由だったりするので、高速バスではなく電車で行ける範囲がいい、という注文もつく。
「それなら特急が停まる上諏訪あたりがいいですかね?温泉もあるし」
と提案し、はて、足が不自由ということならベッドの方がいいし、部屋割とかどうしようかな…と思っていたら、末っ子さん(Aさん)が上諏訪には何度も来ているそうで、宿を手配してくれることになった。
「○○ちゃん(←わたし)も一緒に泊まりましょうよ。お母さんも安心するし」と言われたが、私にとってはKさん以外は全員初めましての方々だ。
積もる話もあるでしょうし、送迎だけさせてもらいます、と返事をした。
どこかを案内するにしても、私の車には乗りきらない人数だ。
あまりお役に立てそうもない。
しかし当日の一か月くらい前になって、一番上のお姉さんが用事で来られなくなった。お得なパッケージ料金で予約したので返金されないという。
行って分かったが、5人で一部屋。一人減っても部屋が空くわけではないので、返金なしというのも納得がいった。
そこで私が代わりに泊まることになった。
この人数なら私の車で自由に動けるので、私も行く甲斐があるというものだ。
午後1時過ぎに上諏訪駅でKさん一行を拾って、私たちは霧ヶ峰高原に向かった。
車中では早速、遠い昔の話に花が咲く。
母はいろいろなことを忘れる人なのだが、親友姉妹はまず細かいことまで覚えている人たちで私が知らない話がたくさん出てきた。
母の父親は再婚しているのだが、当時母とその親友はその新しいお母さんによく意地悪をしたのだそうだ。
「お母さんが私たちに作ってくれたご飯を、”要らない”って言って食べなかったりしたわよね~」という親友Kさん。
するとそれを聞いていた二つ下の妹さん(Hさん)が「意地悪はKちゃんの専売特許だもんね」と鼻で笑っている。
あれ?なんか雲行きが怪しいぞ…
霧ヶ峰高原では山小屋のコーヒー屋さんでケーキセットをいただき、天気も良かったのでいいドライブを楽しめた。
だいぶ打ち解けてきて、姉妹の関係性もだんだん分かるようになってきた…