皆さん、これはなんの花か分かりますか?

 

去年の秋、母とホームセンターに買い物に行った。母は入り口付近にある苗コーナーで一つのポットを手に取った。

見ると白菜の苗であった。珍しいことだったのでどうしたのかと思ったら、

「最近インコが元気がないから、たまには違う葉っぱをあげてみたい」という。

インコを部屋に放した時に、ポットの苗の葉をつつくかもしれない、と考えたようだ。それを一つ買った。

帰ってからインコを部屋に放し、ポットに誘導したが、全然見向きもしなかった。

葉っぱを手でもいで口先に持っていっても食べなかった。

多分その頃にはずいぶん具合が悪くなっていたのだろう。
その数日後にインコは亡くなった。
その後苗も放置され弱っていった。葉っぱは無くなりほぼ枯れかけていたが、試しに庭(と言えるほどの広さではないが)に埋めてみた。
特に水をあげるわけでもなかったが、ふと気づくと青々とした葉を地べたに広げていた。
日に日にドンドン葉っぱが大きくなる。
これは白菜が食べられるんじゃないか?と期待したが、一向に葉っぱが丸まってこない。
そうこうしているうちに寒さが厳しくなり、霜にもやられてしまった。
もう駄目かな、と思っていたある朝、葉っぱが全部何者かに食い荒らされてしまっていた。
ハクビシンでもいるのだろうか。
何かの助けになったのならまぁいいか、とまたそのまま放置していた。
しばらくして気づくと、今度はその白菜、茎を長く上に伸ばしていた。
どうもつぼみも抱えている。
そして最近になってみごとに満開を迎えたのだった。
なんだか白菜の生命力に感無量になった。
見た目は菜の花にそっくり。調べたら食べられるということなので、茎を一本切って、葉っぱもいくつかもいで湯がいて食べた。味付けは辛し醤油にごま油。
癖がなくとても美味しかった。
インコや母の気持ちが入っているようで、私にとっては特別なお浸しであった。