親戚のおばさんがいくらの醤油漬けを送ってくれた。
今年の3月に母を連れて訪れた、父方の親戚である。
いつもは母がお礼の電話をしていたが、今回は私がすることに。母のこともまだ話していなかったし、親の代でこのようなお付き合いは終わりにしましょう、とやんわりいうつもりであった。
母より一つ年上のおばさんは、電話越しでは変わらず元気であった。
が、その内容が私にはショックであった。

まずは自分から施設に入居した違うおばさんが、嫌になって帰ってきてしまったという。
自由がないことに嫌気がさした、らしい。
やっぱりダメだったかー、と肩が落ちる思いがした。
そのおばさんはもともと一人暮らしで、一人娘(私のいとこ)は同じ団地内にいる。とても恵まれた環境に思えたが、それでも娘に心配をかけたくない、という気持ちで施設に入居したのだ(と思う)。
面倒な手続きも自分で済ませ、潔い決断をしたおばさんを、私は心から称えていた。その話を聞いていたからこそ、母のケアハウス行きにも前向きに取り組めたと思う。しかしダメだった…どうしてこうなるの?残念でならない思いだ。

そして電話で話したおばさんにも試練が起きていた。
もともと夫と長女との3人暮らしをしていたが、2年ほど前に夫を亡くし、その後は長女と二人で暮らしてきた。
その長女がどうしても家を出たい、といって一人暮らしを始めたというのだ。
私のいとこになるが、もう70歳をとうに過ぎている。初めての一人暮らしだ。
ここにきてそんな展開になる?とこれまた驚きだった。はたから見ていたら、喧嘩するわけでもないし、うまくやっていると思っていたから。
おばさんは長男の嫁として親戚をまとめてきた苦労人だ。
お料理もたくさんふるまってくれたし、今でも眼も頭もしっかりしていて、裁縫や料理をしているらしい。足は悪くしてしまったので、買い物等は長女に頼っていたというが。いとこの心情はよくわからない…
老母と二人の生活で息がつまっちゃったのかなぁ。
今日になって次女の方のいとこが、私のことを心配して電話をくれたが、「今ジムにいるからあとでかけなおすね~、」「・・・え?」と思ったと思う。
具合が悪いんじゃないんか~い。はい、大丈夫です。
次女のいとこはおばさんの家から車で20分ほどのところに住んでいるので、毎日のように様子を見に行っているようだ。
「いっとき大変だったけれど、今やっと落ち着いたところなのよ。」と言っていた。
長生きしても、安定するのは難しいことなんだな、と思う。あちらこちらに落とし穴がある。
人生のカウントダウンが始まったら、心おだやかに楽しい生活を誰でもしたいだろうに。家族が一緒だから幸せ、という幻想はもうやめにしたいものだ。
誰かを犠牲にするのではなく、なるべく自分の力で生きていく、それが一番幸せなのではないだろうか。
私の母は、ここにきて話す人も出来てきて、身体を動かす機会も増えて、なんとなくケアハウスの生活に馴染み始めてきた気がしている。
このままいい関係が増えていけばいいのだが…

心を閉ざしていては人間関係は良くならないので、どんどん心を開いていってほしい。やっぱり幸せの基本は人間関係なのである。