私は川沿いの方は数店舗なのかな、なんて思っていたら、なんと湖周りより多くの店が出ているようだった。
いい加減疲れてきたので、水とおやきを買ってしばし休憩。
「でもさー。値切る人って全然いないね。」と私。
「そうだね。あんまり見ないね。」今回が2回目だという友達。
「そういうコミュニケーションも楽しい、って聞いたことあるけどやってみる?」
との会話をしてから、重い腰をあげて新たな場所を周り始めた。
皮製品のお店で、かわいいキーケースが売っていた。
お友達は色が気に入ったようで、「いいな、これ。」とじっと見ている。
皮製品なのに1400円という安さ。
「本当に皮かな?」と少し疑いの目を持って見ていた私だったが、彼女がお店の人に「これもうちょっと安くなります?」と声をかけている。
え?十分安くないですか?とギョッとする。
「いや~、これもう限界まで下げてるんで、もう無理ですね。」とお店の人。
でしょうね…
「色かわいいよね。私も買おうっと。」と二人で色違いを買った。
こちらのブースもだらだら歩き、最後にまたあの陶器の場所まで戻ることにした。
「どうする?買う?」
「うーーん、見ないと決められないな…」
店に着いてから、もう一度お皿を吟味する友達。2200円。
ここで私の出番である。
「さっきから迷っているみたいなんですけど、これ2000円になりませんかねぇ?」
「これですか?うーん、ちょっとなぁ。」と渋る店のご主人。
「まとめて買ったらどうですか?」とがぜん友達が買う気を見せる。
「いくつか買ってくれるんなら、考えますよ。」
友達はそこで皿2枚とマグカップと器を買った。
全部ターコイズ色のオシャレな焼き物だった。
「おいくらになります?」と私。
「全部で8800円か。じゃ、8000円でいいですよ。」と狙い通りの値引きに成功。
でも、嬉しい~、と喜ぶほどの感動がなかった。
しぶしぶ値引きしてくれたんだなぁ、という気分が残る。
続けて、私の保留していたガラスのネックレスのお店に行った。
友達が恩返しか「少し安くなりませんかね?」と言ってくれる。
「さっきも買ってくれましたよね。でもあんまり値引きとかやってなくて…頑張って200円かな。」と困り顔のお姉さん。
「ですよね。じゃ、それで買います。」と言って結局私はネックレスを買うことにしたのだった。
なんとなく、ぎこちな~い雰囲気が漂う。
200円でこんな気分になるなら、値引き交渉なんてしないほうが良かったな、と思った。
ここで売っている人たちは、多分みな作家先生なのだ。
自分の作品に誇りを持っているから、本当は値引きなんてしたくないんだと思う。
クラフト市で値引き交渉をするのは場違いだ、ということを身をもって体験し、私たちはそれでも満足して4時間の買い物を終えたのであった。