孫が退院してきてからもうすぐ4週間。 退院してきた当初は、とても小さくて、手も足も昆虫ですか?というほど華奢だった。頭もグラグラで、抱っこするのも恐ろしかった。 今もまだまだ小さいが、身体は一回り大きくなり、泣き声も突き抜けるような声で泣くようになった。 いわゆるギャン泣きである。身をよじらせて声をふりしぼって泣く。 私がいくら抱っこしてあやしても泣き止まない。 夫が「おれに貸してみな」というので、「いくらおとーさんでも、これは無理でしょ」といってためしに渡すと、なんと泣き止む。 そう、この子は夫が抱っこすると、催眠術にかかったかのように泣き止むのであった。そしてピクリとも動かない。まるで、この人に逆らうと殺される…とでも思っているかのようだ。 「ある程度しっかり力を込めて抱いて、上下運動をするんだよ」と夫に伝授される。なんか悔しい。 長女にも「おかーさんは、いらん事いろいろ言うからうるさいんじゃないの?」と言われる。 たしかに私は泣いている孫に向かって「ねこにゃんにゃんにゃん、いぬワンワンワン、カエルもあひるもガーガーガー」と歌って聞かせようとしたが、火に油をすすぐことになるのだった。 たいていおなかが空いて泣くのだが、おなかが満たされるとすぐ眠くなる。 まだまだほぼ一日中寝ている。が、起きて機嫌のいい時には百面相が始まる。 これを見るのが、今の私の一番の楽しみである。 口をすぼめてすまし顔をしているかと思うと、急に眉間にしわを寄せてしかめつらになる。びっくりしたように目を見開いたかと思うと、すっと真顔に戻る。そして眠くなってくると白目をむき始め、夢うつつにたまに笑顔のような顔になってひきつけ笑いをしたりする。(まだ笑う感覚はないようだ) せっかく私たちはこんなにたくさんの表情を持っていたのに、大人になるにつれ顔を作るようになり、本当の気持ちを表現することを控えるようになってしまった。 残念だなぁ、と思う。感情をちゃんと表情に出せる人は、実は人に好かれるんではないだろうか。 安心できる人間関係は、なるべく嘘を作らない。そのままを受け入れること。 赤ちゃんから教えてもらった大事なことであった。