中学生時代、私は卓球部に所属していた。 本当はバレーボールをやろうと思っていたのだが、初めての説明会の時に友達に「卓球部見に行こうよ」と誘われたのがきっかけで、ずるずると…。 なにしろメンバーが良かった。 きつい練習はしたくないが、なんとなく体を動かしたい、というぬるい考えの持ち主が集まっていた。 ふたつ上の先輩はそこそこ強く、地区大会で団体戦優勝を競うクラス。 一つ上の先輩は最初二人くらいいたが、いつの間にかいなくなっていた。 顧問の先生は中学卓球界では一応名が知れた人らしく、自分の中学を強くしようと厳しく指導したいが空回りするおじいさんだった。 なにしろ私たちは顧問を完璧になめていた。(えこひいきする先生だったので反発が強かった) 私は自分でいうのもなんだがひいきされる立場だったので、自動で球が飛び出してくる機械を使わせてもらったり、先輩と組ませてもらったり、練習は実は楽しかったものだ。 それでも仲間とうまくいったのは、彼女たちがとても性格が良く楽しい人たちだったから。 先輩が受験で忙しく練習に来なくなった夏休みから、私たちはまったり過ごすことが多くなった。 夏休み中の練習は、先輩も顧問もいないと、いつの間にか輪になってしゃべっている。 怖い話などで盛り上がっていると、薄暗い廊下からスリッパをずるずる引きずる音が近づいてくる。「キャー、はげラッキョが来たー」と慌てて卓球台にもどり練習していたふりをした。 怖い話と、ズルズルの音の相性が妙に合っていて、本気でこわかったのを覚えている。 そんな楽しい夏休みの練習だったが、ある日仲間の一人が半泣きで遅れてやってきた。 「どうしたの?」「鳥にフンをかけられたの~」 気の毒なことに、髪の毛に粘着したフンが悪臭をはなっている。 一度家に戻ろうとしたが、やっぱりそのまま来たという。 そしてそれは一回では終わらなかった。 次の練習の時も彼女は被害にあっていた。 「あの鳥サイテー!絶対私のこと狙ってフンをおとしてるよ」と怒る彼女。 それからというもの彼女は鳥を恐れ、上の電線を見ながら歩くのが癖になったという。 別になにも悪いことをしていないのに、鳥はどうして誰かを狙うんでしょうかね? カラスの話から思い出したエピソードでした。