昨日は私にとって実に充実した日であった。
介護に苦しむ友達3人で”ぼけますからよろしくおねがいします~”を観に行った。
自宅からだとそれなりの映画館に行くには、車で1時間要かかる。
9時に家を出て、みんなを拾って、10時10分の開始に間に合った。
この映画はドキュメンタリーで、監督、ナレーション、撮影を一人娘の信友直子さんが担っている。
前作は2018年、”お母さん” が87歳でアルツハイマーの診断を受け、耳の遠い95歳の”お父さん” が介護に奮闘する姿を描いてヒットしロングランになった。
今回はその続編。
前作を観ていない私たちでも十分わかり、心動かされる内容になっていた。
直子さんは独身で、東京で映像カメラマンとして働いている。
親御さんたちは広島呉市に住んでいる。
「私も帰ってこちらでいっしょにお母さんを看たほうがほうがいいかね?」
「いいよ、仕事があるうちは仕事をしといたらええ。お父さんがいるけぇ」
 “お母さん” が認知の状態になってから、”お父さん” は家事を手伝い、買い物に行き、進行していく”お母さん” を穏やかに見守る。
曲がった腰で歩いて買い物に行く姿も映っていたが、帰りは荷物を両手に抱えてとても大変そう。
途中座って休憩していたが、「立たな。ここで立たなきゃ始まりません」と歩き疲れた体に鞭打つ姿が涙をそそる。
95才の”お父さん” がリンゴを向く姿を直子さんも初めて見たそうだ。
ひたむきに一生懸命がんばる”お父さん”。
”お父さん” とカッコでくくるには訳がある。
直子さんが呼びかける ”お父さん” ”お母さん” に独特なイントネーションがあり、この映画のリズムを調子よく作っているのだ。
響きも優しいが、呼ばれるご両親の人柄がまた素敵。
”お母さん” が元気な時に商店街で買い物しているシーンでは、社交的で、お店の人とのやり取り上手な面も描かれる。
いつも優しい笑顔。
直子さんが乳がんの手術をした時も”お母さん” は静かに寄り添い、手術が成功した時にはそっと涙をぬぐう。
けっして過度には反応しない。
抗がん剤で髪が抜けた頭をブラシでとかしながら
「こんな頭じゃおかしいね?」と直子さんが言うと、
「おかしいけど、かわいいよ」と優しく答える”お母さん”。
よくこんな頃からフィルムを回していたな、と思うが、その比較があるからこそリアルが身をもって感じられるのであった。

                 ・・・つづく