長野県は昔 ”教育県” と言われていただけあって、しつけには厳しいところがあると思う。
よくあるあるで言われるのが”無言清掃”。
清掃中はいっさい言葉を発してはならない。
本当に静かに清掃する。
私の子供たちが小、中学生の時にもしっかり受け継がれていた風習なので、きっと今もあると思う。
あとは挨拶。 車が道をゆずってくれた時には、まず一礼してから道を渡り、渡った後もしっかり運転手を見てお辞儀をする。
他の県から来た人が、「感動しました~」と言っているのをテレビで見たことがある。

数年前まで、私は朝ジョギングをするのを日課としていた。
家のすぐ近くに中学校がある。
(今日も元気に野球の朝練しているな~)と思いながら、校庭の脇の道を走る。
そんなことがしばらく続いたある日、イヤホン越しに「おはようございまーす!」という元気な声が聞こえてきた。
誰か校庭に来たのかな?と思い通り過ぎる。
そして別の日、また「おはようございまーす!」「おはようございまーす!」という声が聞こえてくる。
ふと見ると、なんと私に向かって、何人もの生徒が帽子を軽くとってお辞儀しているのである。
金網越しである。
(えーーー?なんでー?)とビックリして小さな声で「おはようございます…」と会釈をするのがやっとだった。
先生が「あのおばさんはいつも頑張って走っているから、みんな挨拶するように。」と指示を出したのか??
もちろん、一生懸命練習しているのであるから、タイミングが合わなければ「おはようございます」と言われないこともあったが、(どうか今日は朝練が無い日であってくれ)と願いながらその後もたびたび通っていた。
なにしろ家の近くなので、コースに組み込まれてしまう。
しまいには校庭の横を通る時だけは、生徒が見ていようと見ていなかろうと、頭をぺこぺこ下げながら走るようになってしまった。
まるであかべこ。
それにしても最後まで大きく手を振って「おはようございまーす!!みんな頑張ってねー!」と言えないわたしなのだった。