土曜日(6/14)、「ノア 約束の舟を観る。
 

これぞ、映画!な、大スペクタル。
話的にも映像としてもスケールが大きく、
壮大なロマンがあふれる。

神の在り方としては、日本人と欧米人でも
差があるし、思想、宗教観によっても捉え方が
変わって来るかと思うが、
きちんと人間ドラマとしての軸があるので、
絵空事としてではなく、共感でき、
感情移入してしまうところがあり、
二時間半という長さを感じさせない位、
映画の世界へ入り込めた。

神の啓示を受けるノアだが、解釈はノア自身が
考えることであり、選択をするのもノアなのだ。
そこんが、観客もノアと共に苦悩し、
それを実行に現して行く過程に寄り添える。

聖書に忠実に作ったという「箱舟」の大きさに圧倒され、
そのデザインの独創性にも驚く。
「船」というけれど、実際は航海するわけではないので、
長方形だったのだとか。

神は悪がはびこる世界を大洪水でリセットする。
でも、何が悪で何か善なのか、考えさせられる。

愛するものを守るために誰かを殺めるのは、悪なのか、
善なのか。
自分を助けるために誰かを見殺しにした者を
信頼できるのか。
むしろ、善悪の基準は何なのか、人は自分の欲望のままに生きて
いるだけではないのかと思う。

大雨のシーンもすごいし、舟をどうやって作ったかの
アイデアとヴィジュアルも斬新で素敵だけど、
「番人」はどうなんだろう。
キャラはとてもいいのだけど、私はちょっと違和感があったかな。

ノア役のラッセル・クロウがやはり素晴らしい。
心身共にタフなようでいて、苦悩し、使命よりも慈悲の愛に
生きる男を見事に表現している。
ロン毛から、坊主頭まで、髪型七変化が楽しめるのも楽しみ。


 
 「ノア 約束の舟」パンフレット。

プロダクションノートがおもしろい。
監督自身の大胆なアプローチはもちろんだが、
様々なスタッフの叡知がぎっしりとつまっていて、
撮影現場は何もかもが前代未聞的。



 
「キネマ旬報」6月下旬号は「ノア」特集。
『再構築された 旧約聖書/創世記を解く』では、
社会学者として宮台真司とコミックとして表現した藤原カムイ
の二人の対談がとても興味深い。
映画との比較をしながら、語られていて、
映画の独創性が伝わる。


「面白いほどよくわかる 聖書のすべて」
日本文芸社/ひろさちや:監修/中見利男:著

聖書のことも改めて、確認するには、
とてもわかれやすい本。

水曜夜(6/4)、ソレイユにて、「愛の渦」を観る。
 
ツィッターで話題になっていた作品、
ようやく、高松で上映。

三浦大輔監督が主宰する演劇ユニット「ポツドール」の公演で
上演され「第50回岸田國士戯曲賞」に輝いた戯曲を、
三浦監督自らの手で映画化した。

高級マンションの一室に「セックスをしたい」
という複数の男女が集うというお話。

一室での一夜の物語なので、とても演劇的な作品。

コミュニケーションをとる部屋では、
バスタオル一枚を巻きつけただけの男女。
そして、階下に降りて行くと、そこは“プレイルーム”。
ベッドが4つ四角く並べられてあり、
全裸になって、コトに及ぶ。

初めて会う男女は、最初はぎこちなく、さぐりあいながらも、
気を使いあっているが、一度、“カップル”になり、
各々が“プレイルーム”でまぐわうと、
関係性に変化がおきていく。

男女4組が各々、ベッドの上で、
まぐわっている姿を真上からカメラがとらえるのは
刺激的な光景ではあるが、決してエロくはない。
生々しいけど、そそられなく、むしろ滑稽。

AVのようにくんずほぐれつの赤裸々変態プレイという
のではなく、人と人のコミュニケーションに
性欲がからむとこうなるよ というおもしろみが
描かれている。

全裸の時間が増えるほど、身体だけでなく、
心も人間性もむき出しになっていき、
本音も吐くし、毒も吐くし、残酷な面も見える。

中盤まではやや、間合いが悪く、たらたらした感じ
だが、中盤からの会話劇がおもしろく、
オトナなので、笑えた。

ややデフォルメした演劇的キャラではあるが、
個性的な面々ならではの言動が生きている。

「地味で真面目そうな容姿ながら、
誰よりも性欲が一番強い女子大生」を演じた門脇麦。
この役のオーディションは一人50分もかけて、
じっくり選んだとのこと。

セックスから始まる愛もあれば、
セックスで終わる愛もあるし、
愛なきセックスだってちゃんとある。

最後はちょっとせつなかったな。

 
  
  

 

 

 


 

日曜日(6/1)、映画の日は「MONSTERZ」を観た。
 

見るだけで、全ての人を操れる男という設定自体が、
もう何でもありなので、ゆるい感じで見たが、
主役二人の演技がよく、見応えがあった。

ただ、話としては、“男”の幼少期が
明かされていないので、せっかく父母が登場したのに、
男の孤独や苦悩が見えず、そこまで屈折していくことが
すんなり受け入れられなかった。

エキストラは のべ5000人を使ったという。
CGを使わず、ワイヤーアクションで撮ったというだけあり、
群衆の中のアクションがとても迫力があった。
特にクライマックスの劇場のシーンが怖いほどリアルだった。

そして、螺旋階段のシーンは、せつなくて泣けた。

後半の展開は主役二人と監督で何度も話し合って、
練り直されたとパンフにあったが、
確かに、どう着地させるかで、映画の印象がガラリと
変わるだろう。
私としては やや物足りなさが残るが、
ちょっと余韻を残しているあたりが、続編があるのかな。

“男”の母親役の木村多江の老けメイク。
容赦なく、女優魂を感じた。

藤原竜也の目力は凄いが、山田孝之も負けてはいない。
山田君は見る度にかっこいい俳優になっていく感じ。
胸毛全開のサービスショットもあり、
アクションはもちろん、肉体美も楽しませてくれる。
今度、園子温監督作品にも出るらしい。
「凶悪」で見せた、彼の狂気や「ミクロネーゼ」で見せた
突き抜け具合とかを見ていると、園子温監督作ではどんな姿を
見せてくれるのか、とっても楽しみだ。

本作のタイトルの意味が最後にわかるような仕掛け。


「モンスター」というタイトルの映画で印象的なのは
   ↓

★「モンスター」2005.4.11
http://ameblo.jp/tsukikagenomai/entry-10000690614.html

監督:パティ・ジェンキンス(2003年/アメリカとドイツ)
アメリカ初の女性連続殺人犯を描いた作品。
シャーリーズ・セロンが13キロも体重を増やし、
義歯をつけ挑んだ作品。


★百田尚樹の原作の映画化で高岡早紀が特殊メイクで挑んだ作品。
「モンスター」2013.7.15
http://ameblo.jp/tsukikagenomai/entry-11614110101.html

日曜日(5/25)、「晴天の霹靂」を観た後は、
県立ミュージアムにて
「日本近代洋画への道」展を観る。
 
近代洋画を開拓した高橋由一の代表的な2点の
鮭の絵をはじめ、由一以降の画家たちの油彩画を
辿りながら明治の 日本洋画の歩みを紹介。

観に行こうかなと思っていたら、
偶然にも招待券をいただいた。
ギリギリ、本日までの会期。

思ったより充実のコレクション。
静物画や風景画よりもやはり、
肖像画や裸体画に惹かれる。

 

日曜日(5/25)、お昼は「晴天の霹靂」を観る。

 

タイムスリップものだけど、設定はゆるく、
人間ドラマの方に比重を置いた作品。

伏線をきっちりはって、
細かい所の符号もきっちりと作り込んでいて、
とてもいい、感動作だったれど、
あまりにストレートだった。

シンプルでオーソドックスなのが悪い
わけではないけど、何かあるのかなと
思ってしまったので、あまりの直球に
ちょっと肩透かし。

でも、やっぱり泣いてしまった。
あざとくなく、台詞で泣かされ、
大泉洋の表情にやられてしまう。
ああ、劇団ひとりに泣かされるとは~。

クライマックスの大泉洋の
マジックシーンもとってもかっこよかった。

タイトルにもなっているが、天気が重要な
ポイントとなっていたり、
季節を感じさせる映像が
とても美しく、心情も表していた。

タイムスリップものは大好き。
バックトゥザフューチャーから
バタフライエフェクトまで。
邦画では、「異人たちとの夏」とか
「メトロに乗って」も思い出した。

しかし、昭和が遠くなったなあーって、
ちょっぴり淋しくなった。
私もタイムスリップして、今は亡き、
若き父に逢いたいな・・・。


「晴天の霹靂」パンフと前売券。
実は予告観てから、すごく観たくて前売まで
買って、楽しみにしてた。
あまり期待しすぎるとイカンね……。


ランチはサラダうどん。

 
日曜日(5/25)は映画館、ミュージアムと
はしごし、夕方は国分寺ホールへ。

瀬戸内サーカス×カンパニー・リメディア
日仏共同創作公演「キャバレー」を観る。

演出家カミーユ・ボワテルの生み出す世界。
フランスで「鬼才」と評されて久しいボワテル率いる
カンパニー・リメディアと、日本のミュージシャン、
役者、サーカスアーティストたちが香川で出会い、
生み出す奇妙な「キャバレー」!
            <チラシ より>

千秋楽。

寺山修司のアングラ劇っぽいかと思えば、
身体をはったショーパブのショータイムのような。
それでいて、鍛え抜かれた身体表現は、
目を見張る。

笑うとこなのか、目を見張るとこなのか、
エロティックなのか健全なのか・・・、
見方次第で、そこは異世界へと続くよう。
とっても不思議な空間で音楽もとてもよかった。

ダンスだったり、芝居、アートなど、表現をする人が
たくさん観客にもいた。
表現の多様性、見せるということ、魅せる舞台を作ること、
各々が感じられたのではないだろうか。

 

5日、ソレイユにて「あなたを抱きしめる日まで」を観る。
 
  
50年前に生き別れた息子を捜す旅にでる母フィロミナ。
 一緒に旅をする元ジャーナリスト。
 実話を元にした話だけに、心に響く物語になっていた。
 
快楽は罪だとされる修道院。
 若いフィロミナが、息子と引き裂かれるシーンは、涙がとまらない。
 
それから50年の時を経て息子を捜しに米国へ旅する。
 少しミステリ要素もあり、現在と過去が、交錯しながら、
真実が、見え、真相にたどりつく。
 
絶望だと思えた結末が、
希望に変わり行くラスト近くは、止めどなく、涙が落ちる。
 
人は罪深いものだが、人は人を赦すこともできる。
 
神は、セックスの快楽を与えるのに、
それを罪だと、とりあげるというような台詞があったが、
快楽の中で宿る命だって、尊いもの。
 
仕打ちを受けても、人を憎まず、恨まず、
ユーモアとロマンを抱え、心に素直なフィロミナを
演じるジュディ・デンチのキュートなこと。
 こんな風に年を重ねていけたら、いいな。
 
息子モノは涙腺ゆるむね。
 しかし、修道院モノといえば、
どうも「聖獣学園」を思い出し、エロい妄想が、膨らんでしまう。
 
この映画では、そんなエロいのはもちろん無いけどね。
 

 
  
 
 

木曜日(5/1)、映画の日、
「白ゆき姫殺人事件」を観る。
 

原作がとってもおもしろかった。
さすがは湊かなえ!

あっと言わせる構成力がお見事で、
映像化が困難と思わせる。
しかし、映画は映画で、映像ならではの魅力を
十分に活かしていて、楽しめた。

映画化するほどでもないかとも思ったが、
大画面で観ることの利点で、画面に流れる
ツィッターのツイートのタイミングのおもしろさ。

ネットならではの噂の一人歩きだったり、
悪意の潜む情報のいい加減さ、人がそれによって
巻きこまれていくことの怖さを浮き彫りにしている
だけに、このツイートの取り入れ方が絶妙。

同じ人でも、語る人によって変わったり、
受ける印象やイメージも全く変わってくるし、
人は平気で嘘をついたり、記憶をねじまげたりする
ことを改めて、つきつけられた。

井上真央が「地味な女」で、体当たりの演技を
見せてくれ、語る人のイメージによって微妙に
演じ分けている所がおもしろい。

人はふとしたことで変わったりするが、
やはり女の裏表は知らない方がいいかも。
でも、最後に女のつながりのよさを感じさせる描写があり、
ほろりとしてまう。

染谷将太も出てるよー。

 
原作の文庫。オリジナル版(右)と 
映画のパンフ(左)

パンフはスマホ風でちっちゃいけど、
中は読みごたえたっぷり。
中もツィッター風になっていて、凝っている。

 
「シナリオ誌」4月号にはシナリオが掲載。

私は原作小説→シナリオ→映画と観たので、
想像力がかなり広がってしまったが、
どれも楽しめた。

こういうサスペンスは何を見せて何を隠すかが
ポイントとなるが、その割合が絶妙であった。

 

【大阪2】
土曜日(3/29)、ナナゲイで「父のこころ」を

  
  

観た後、夕方はビルボード大阪にて
フラメンコギターの沖仁ライブspring tour 2014 ♪
 

高岸弘樹(Cante, Palma), ホセ・コロン(Per)

去年のツアーは「Dialogo」(対話、会話)で、
様々なアーティストとのコラボだったが、
今年は「Monologo」(独りごと)。

私の中で、一番 ナマで聴きたいアーティストが沖仁。

フラメンコギターのワンポイント講座をしたり、
フラメンコのクラシカルな職種を弾いたり、
会場からの情景「お題」を受け、そのイメージを
演奏したりと、様々なカタチでフラメンコギターを
聴かせてくれた。

フラメンコの曲種は「ブレリア」と
「シギリージャ」。

沖仁の奥様が三人目のお子様を妊娠中ということで、
聴かせてくれた曲は「Esperqnd」。
“初めまして”とか、“待ってるよ”という意味。
スクリーンには、沖仁の家族たちのモノクロ写真が
スライドショーで映される。
何気ない日常のスナップだが、幸せがあふれていて、
とっても素敵で、沖仁の家族への愛が曲と共に伝わってくる。

アンコール曲は、震災の後に見た月から喚起され作った
「ニュームーン」という曲。
様々な想いのこめられたギターの音が、静かに激しく響く。


 

ツアーオリジナルのカクテル
「スプリングハズカム!」は桜の花入り。


 

新鮮野菜の盛り合わせ。
バーニャカウダーソースで。


 

土曜日(3/22)、夕方もeとぴあで、
「地方X映画~その先にあるもの」座談会を
聴く。

 

登壇者
・「拳銃と目玉焼」安田淳一監督
・吉田摩弥子(シネマファクトリー代表)
・「恋とオンチの方程式」脚本・監督香西志帆
・西原仁美(映画制作実践講座修了生の会)
・増井香理(俳優/直島出身)
・「ひかりのおと」山崎樹一郎監督
・「ひかりのおと」プロデューサー桑原氏

映画づくりのきっかけから、なぜ映画を創るのかや、
地方を意識するかなどの質問に各々の方が語られた。

商業映画と自主映画という枠を決めることは、
作り手側の言い訳だと想うという意見が出て、
とても納得した。

映画は作るだけでなく、観てもらうことが大事。
どんなにいい作品でも観てもらわないことには
始まらないし、映画の意味がない。
それは私自身も心がけていること。
作ること以上に宣伝活動が大切で、
集客することが難しい。


地方から発信して全国に、世界に広がって行く
映画が今後もどんどん増えていくといいなと思う。

 

座談会の後はソレイユへ。
「拳銃と目玉焼き」上映後、舞台挨拶。
左から主演のお二人と安田淳一監督とさらりん。