「2(ツー)映画の謎と真実」
  冬門稔弐・柚木浩・松永大成:著
  小学館/1999.4.20/1,680円

2映画の謎と真実

「2映画」とは続編、シリーズ映画の総称。
パートⅠ、Ⅱなどと表記される映画もまとめて
「2映画」と呼ばれる。 <表紙より>

ちょっと古い本なので、取り上げている作品は
ちょっと古いのが多いのだけど、
すごくおもしろかった。
久しぶりに読み応えのあった映画本。
コネタも多くて、情報のボリュームがすごい。
この本の2が読みたいと思うもの。


映画の続編はつまらないとよく言われるが、
著者は続編を「旧友たちに再会できる貴重な場」
としてとらえている。

まずは「第1章 2映画の6つの基本パターン」
2映画の分析をする。
もっとも多いのが「舞台変更型」で、一番シリーズ化
しやすいパターンであり、展開の可能性が無限大となる。
都会に行ったり、田舎に行ったり、宇宙や異次元など
新舞台は限りなく設定される。

その次に多く見られるのが「定位置後史型」
主人公同一で舞台は同じで、Ⅰの世界そのままの
延長上。
「その後」の王道である正統派。



マニアックなのが「完全直後型」
Ⅰのラストからタイムラグなしにそのまま
スタートするので、前作のラストがプロローグ
となっている。
これの代表作が「バック・トゥ・ザ・フューチャー
PARTⅡ」「同 Ⅲ」だろう。
続編の構想があまりにふくらみすぎたため
パートⅡとⅢを同時に撮ったというのは有名な話。

かなり無理があるのが「主人公変更型」。
著者は「太っ腹な資本主義追求姿勢が反映」と言う。
双子の兄弟だ、隠し子だと、無理な設定などなんでも
あり。
前作のサブやライバルが主役になる場合もある。
前作の俳優が出演拒否だったり、本当に俳優が
死んだりしているとこの裏事情があるものもある。

存在としてのパターンは「タイトル豹変型」もある。
あえて前作とは異なるタイトルをつける。
前作の名に頼ることがマイナスになる場合だとか、
前作を見ていないとわからないと思われるからだとか
巧妙に隠されることがある。

冒険もの歴史ものに多いのが「前史型」
時代を遡り、物語がより深くなっていく。

「第2章 SAGAで楽しむ映画」では
有名パターンの映画をとりあげ、主人公の
人生の遍歴に深く切り込んでいる。
そして、その作品の「SAGA」という
切り口で語っていく。

50年代アメリカンポップスで彩れらる
能天気な青春映画「グローイングアップ」も
とりあげられていておもしろい。
このシリーズ第8作まであったのだ。
しかもイスラエル映画だった。


「第3章 あの愛すべき主人公たちは…」では
主人公たちの愛の行方や主人公たちの
消息を追っていく。
同窓会気分というか、「あの人は今!」な感じ。

「第4章 2映画の謎と真実」では
いろいろな映画のこぼれ話。
テレビや本になったものや別映画になったもの
などトリビア的な話。

「うそ2」話もおもしろい。
2映画に見せかけて、全く別物の映画についてだ。
パロディ系だったり、ただキャストの知名度に
あやかるとかね。