「ヒッチコックを読む」
  筈見有弘 他:著 
   フィルムア-ト社/1980.7/1,890円

ヒッチコックを読

やっぱりサスペンスの神様!

たとえば断崖の手と手や大きな人影や
テムズ川の全裸死体や眼鏡に映る殺人や
犯人に間違えられた男や花火の下の請い
知的で紳士的な犯罪者や同性愛や
密室や列車や飛行機や……
どれもこれもみんな「映画」そのものの
躍動なんだ
           <表紙より>



「快楽の園」を第一作として発表してから、
「ファミリープロット」は最後の作品として
手がけるまでの全仕事に焦点をしぼって編集した本。
各作品のストーリー解説、および数名の執筆者による
ヒッチコック研究とヒッチコック賛によって構成
されている。 

作品紹介はとても詳しく、写真も一作品につき何点か
掲載されている。
「ヒッチコックパターン」として、作品ごとに“殺人の手口”
“小道具”などを一覧表にしたものがよかった。

「ヒッチアラカルト」では、いくつか単語をあげ
それにまつわる作品をあげ、ヒッチ作品における
その意味などを語っているのも興味深い。
“フェティシズム”とか“メガネ” “母親”など。
 

和田誠の「ヒッチコック賛歌」は映画を撮るもの、
シナリオを勉強する人にとっては大変勉強になる
内容である。
ヒッチ映画の素晴らしさを語るだけでなく、
技法や手法についても詳しく語られていて
興味深い。

ヒッチコック研究本はけっこうあるけれどこれは
かなり内容盛りだくさんであろう。