「病む女はなぜ村上春樹を読むか」 | 月灯りの舞

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自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

久しぶりに新書本。


私はハルキストではないのだけど、
私が関わった男の中で、
ハルキストは皆、心を病んでいた。
だから、このタイトルが気になった。


「病む女はなぜ村上春樹を読むか」
小谷野 敦 (著)
ベストセラーズ/2014.5.9/759円


世界中で村上春樹が読まれる時、
おそらく人々は「日本の女はエロティックだ」という
イメージを引きずっている。
川端や、ゲイシャ・ガールやかつてのベストセラーで
あるジェイムズ・クラヴェルの「将軍」の、
やたらとエロティックな女たちもそうだ。
          「はじめに」より。


タイトルに対しての答えを書いているというよりは、
「村上春樹の小説にはなぜ病む女が登場するのか」
ということを書いているといった方がふさわしいかも。


それに、タイトルに「村上春樹」が入っているが、
古今東西の様々な作品がこれでもかというほど
登場し、著者の「小説論」といった方がいいかな。


著者自身、村上春樹の小説を、
「やたらと女にもてて、セックスをしたり、
フェラチオして口内発射したりする主人公に嫉妬もし、
現実的でない、通俗小説だ」と批判してきたが、
それでも、人気は上がるばかりで、
もういっぺんは、改めて考え直してみようと思ったそう。



第一章「村上春樹はノーベル文学賞をとれるのか」
では、文学賞という観点から、受賞者を例にあげつつ、
比較している。


第二章「ニンフォマニアの文学世界」では、
最新長編小説「「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」に
ついて掘り下げているが、“水増し”された小説と。


第三章「精神を病むというファッション」では、
文学の中での病気や死について。


第四章「村上春樹から俗物問題を考える」


作品を網羅しているハルキストやかつての文学少女たちが
読むともっとより深くおもしろみが出るだろな。

人の作品の引用がかなりの比重をしめているので、
この著者自身を批判する人もいるが、
これだけ作品を出せるのは、すごいし、とても参考になる。


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