「わが人生 わが日活ロマンポルノ」 | 月灯りの舞

月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「わが人生 わが日活ロマンポルノ」
小沼 勝 (著)
国書刊行会/2012.5.25/2000円


月灯りの舞

神代辰巳、曾根中生、田中登と並んで
《日活ロマンポルノ》を代表する映画監督小沼勝。
谷ナオミ主演SM映画の傑作『花と蛇』や
『昼下りの情事 古都曼陀羅』『箱の中の女』など
独特のロマンティシズムに彩られた耽美的傑作を
数多く手掛けた鬼才監督が日活ロマンポルノに
捧げた映画人生を縦横無尽に綴る回想録!
<帯より>


写真は本紙の表紙だけど、ちょっと隠してみた。


撮影風景や作品の写真なども盛り込みつつ、
当時の撮影話、作品の紹介、ヒロインについてなどが
詳細に綴られ、かなり読み応えのある一冊。



「助監督は辛いよ」の章で語られている、
日活撮影所では助監督が4人つき、かなり序列化され、
それぞれの役割分担があるという話もとても興味深い。



そして「ロマンポルノで監督に」の章では、
女優さんにいい演技をしてもらうためにしたことや、
映像においても様々な実験を試みる監督の
創意工夫、苦労談が語られる。


М女としてはやはり「花と蛇と、谷ナオミと」の章で
語られるSMモノの世界、美しい縛シーンの話は
そそられる。


演技に微妙なわななきやしなやかさが欲しいと
練習するシーンや、谷ナオミが胸をわしづかみにして
悶えるシーンの横で、監督も同じポーズをしている写真が
載ってたりして、つい顔がほころぶ。



山寺ではポルノ撮影とは言わず、
和尚には石段での“擬似撮影”シーンを見せ、
その間に、無縁仏の前で男女がからむシーンを撮影した
というエピソードとか、ロマンポルノの現場は、
自主映画の現場に通じるところもあり、
とてもおもしろく読めた。


ちなみにこの作品は「昼下がりの情事 古都曼荼羅」で
山科ゆりと風間杜夫主演。


一つ一つの作品への愛、女優さんやスタッフへの想いなど
克明に記されていて、映画への愛というものが感じられるし、
映画制作において、学ぶべきものが多かった。



★「ロマンポルノ女優」 早乙女 宏美:著
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10010465251.html



★「愛の寓話―日活ロマン、映画と時代を拓いた恋人たち」
という本も以前読んで感想をアップしたのだけど、
アメプロでは健全なサイト運営にふさわしくない言葉・表現が
含まれている可能性があると、
書いたものを削除されてしまった(泣)。