「女の道は一本道」 | 月灯りの舞

月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「女の道は一本道」
田渕 久美子:著
小学館/2011.1.11/438円


月灯りの舞

一大ブームを巻き起こした「篤姫」。
そしてNHK大河ドラマ通算五十作目のヒロインとなるお江(ごう)。
くしくも二人の姫は、江戸幕府、すなわち大奥の終焉と始まりに
深く関わっている。


そんな時代の転換期のなか、強くしなやかに生き抜いた二人の
女性の生き様には、脚本家・田渕久美子さんが歩んできた
半生のなかで得たものが色濃く投影されている。
                   <裏表紙より>


脚本家・田渕久美子のエッセイ。
2009.1月に単行本化されたものに
「『篤姫』から『江』へ」を加筆し、文庫化。


「篤姫」の中の台詞を引用しながら、
女性の生き方、家族、恋愛についてのエッセイ。


あるがままに、「直観」を信じて生きるという、
すがすがしいまでに強く、凛とした生き方である。


「あるがまま」と「わがまま」は違って、
「直観」と「おもいつき」も違う。



あまりに強くて、圧倒されてしまい、
教科書的理想論のようだが、彼女の人生をみていると、
「それはごもっともです」と、ひれ伏してしまう。


それだけ、強い意志の力と、自分を信じるという自信。
言葉と実行力が結びついているということだ。
こういう生き方をしてきたからこそ、言える言葉であり、
その実行力ゆえに、言葉に説得力がある。


著者は霊感が強い方だという。
ちょっとオカルトチックなことも書いていたり、
江原さんの本にふれていたりする。

だから、「篤姫」を執筆中も、様々な体験をされている。
でも、選ばれた人というのは多かれ少なかれ、
そういう「神の声」みたいなものを聞いて、
導かれたりするのだろうか。
運命が流れにのっている時って、
神がかり的だったりするのかな。


「願えば天が動く」の章では。
「人はいったん覚悟を決めたとなると、
どんなことでもできると私は信じています。
人の思いは、とても強いエネルギーです。
強く願えば、必ず天が反応し、
実現へ向けて動き出します」
と語る。


しかし、彼女の二人目の夫は、「篤姫」執筆中に
末期癌になり、「篤姫」のクランクアップの二日後に
亡くなる。


それだけはどう天に願っても避けられないことだったと。


そんな状態での執筆、そして、最愛の人を亡くしてしまって
からの、彼女の心の持ち方や生き方、仕事への取り組みは、
壮絶で、胸に迫るものがある。



女としても、物書きとしても彼女のような筋の通った
生き方はすごいと思うし、ここまでの強さや覚悟がないと、
人の心を打つものは書くことができないのかとも思う。


回り道、紆余曲折があれど、自分の道さえぶれなければ
自分の望む道にたどりつけるのだろうか。

回り道ばかりで、自分の道を見失いかけている私に
喝を入れてもらったような本だ。