「中島みゆき・円環する癒し」
落合 真司:著
青弓社/2001.1/1600円
ささくれ凍てついた時代に、言霊が心を修復し、
母性の声があたたかく包みこんでくれる
中島みゆきが示した癒しと転生のテーマに迫る、
言葉を解放するためのシリーズ第6作。
<表紙より>
またまた著者のみゆきへの熱い思いが
つづられたみゆき論。
とにかく綿密にみゆきを追い、
データを比較し、著者独自の視点でみゆきの世界観を
語っていく。
全て観たという「夜会」の細かい分析には圧倒される。
歌詞の解釈は独自のものなので、
それは聴く人それぞれがとらえればいいものなのだが、
こういう解釈もあるのかと思うものもあった。
♪くり返すあやまちを照らす 灯をかざせ
君にも僕にも すべての人にも
命に付く名前を「心」と呼ぶ
名もなき君にも 名もなき僕にも
このサビの歌い方には、悲しみを源動力にした
巨大な生命力を感じる。
低く力をこ込めて唄いながら、最後の
「名もなき」の「き」、「君にも」の「も」、
「僕の」「く」をそれぞれ極端に高い音叫ぶように唄う。
一言一言に魂から湧き出る命を注入するような声だ。
という感じで、歌詞をあげ、唄い方についても
鋭く分析している箇所もある。