J.クーパー・ポウイスの『孤独の哲学』 | 富田林・じないまちの 本と雑貨 『緑の小道』日記

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富田林市には大阪府唯一の重要伝統的建造物群保存地区の寺内町があります。古本&雑貨屋店主の日々の雑記や愛読書紹介のブログです。2021年に母を亡くした後から苦しい日々となり、心はまだ鬱状態で動悸もありしんどいですが、毎日なんとか乗り越えてます。



このごろずっとこの本を紹介したかったのに、なかなか書けませんでした。

とはいえ、緑の小道にいらっしゃるお客様は あまりこういうのは興味ないかもしれないですけども...。


この本は、確か 私が高校生の頃、
新聞で紹介されていて、
とても興味を持った本でした。

実際に読んだのは数年後のことで、
20代の頃。

そして こうして本を手に入れたのは
今年になってからのこと。

でも、ようやく手に入れたその本もまた、手放そうとしています。

必要な方のもとへ 行くのでしょうか。





『孤独の哲学』

J.クーパー・ポウイス

原 一郎 訳
みすず書房

1977年発行


帯に書かれてある文の一部です。

《...喧騒にみちた現代の都市社会において 人はいかに生きるべきか。
人間の幸福とは何か。

ヘラクレイトスと老荘を語りつつ、
宇宙の神秘との孤独のうちの交わりに
魂の救いを求める「エレメンタリズム」の思想を説いた本書に、
読者は大きな慰めと励ましと支えを見出だすであろう。》


本文の、気に入った文章は、20代の頃に ノートに書き写してあります。
(図書館で借りていたのですね)

あらためて、少しだけ抜き出して紹介するというのが、とても難しいです...。

どれもこれもすばらしい。

私にはやっぱり、感動的な本です。

ポウイス本人の言葉でなく、古い哲学者の言葉も書かれてたりします。
老子や荘子なども。


「...エピクテトスの偉大な教えの第一は、人間生活を単純化せよということである。

...自分自身から余計なものを除き去るのが 幸福の大きな秘訣である。


....君の所有欲を最小限度まで少なくし、君の生活を最小限度まで単純化し、君自身の心の力に精神を集中しなさい。...」


「魂が痛手を負っている時、群居している者たちから熱情的な親しみの言葉を注がれることは、
芽生えたばかりの植物を真昼の灼熱の太陽にさらすようなものだ。
そういう魂が必要としているのは、
曇り空からの数滴の雨の雫なのだ。」


「大いなる母である自然は、
どんな風変わりな者に対しても、
彼の仲間である人間よりも、いつもいっそう親切である。

自然は人生に対するすべての不適合者の永久の逃れ場所だ。」


「単純化なさい!単純化なさい!

それこそ われわれがいま陥っている紛糾した状態から脱出する ただ一つの道なのだ。」


「表現があまりにも多すぎる。

.....われわれに必要なのは、より多くの自己表現でなく、より少ない自己表現なのだ。」

(昔に書かれたものなのに...万人が表現者になってるような今の時代に向けて言われてるような...)


「...君が為すべきことはただ、
こうした煽情的であまりに人間的な関心事から ただちに自分を引き離してしまうことだ。

働いて君の生計を立てなさい。
人と競争したり自分を憐れんだりすることを止めなさい。

そして、たとえ君のすべての友人たちの真中にいる時でも、
まるで市街が砂漠であり、
君の頭上にアーチのように懸かっている大空と共にいるようにして生きなさい。」

...(まだ生計は立てられていないけど、)大好きな言葉です。


一見 難しそうな本の中で
ひっそり静かに息づいている、
宝のような言葉たち。

誰かに見つけてもらって感動してもらえるのを 待っているかのよう。


そしてこれは、今さっき再発見した、
名言です。


「魂が孤独である時にのみ、
宇宙の不可思議な力は
その中を流れることができる。」


「」内はすべて
J.クーパー・ポウイス
『孤独の哲学』(みすず書房)より


いかがでしょうか。

本気で読みたくなった方がいたら
うれしいです。


宮沢賢治の「いちょうの実」の
お話会、11日の17時頃~も
ご希望の方がいらしたら実施です。

23、24、25日は
寺内町界隈で、古書めぐりというイベントの日。

緑の小道のお話会は
『ゴールディーのお人形』です。

よろしくお願いいたします。