テーブルへの肘の突き過ぎで痛くなってきたら、膝とバトンタッチできる装置開発に融資してます。
Googleマップを確認しながら、目的地までおよその最短距離を進んでるつもりだが、スタート地点からなかなか進まない。
牛歩のつもりはないが、先行きの見通しに不安が募る。
完全な暗闇の地区もあれば、街灯がぽつりと灯る道もある。
iPhoneの充電はいつの間にか70%台まで落ちていた。
懐中電灯のバッテリーへの負担が予想以上にでかい。
どこかその辺、大声で何かを叫ぶ奴や、真っ暗闇の坂道をフードを頭からすっぽりかぶって自転車で疾走するコート野郎、手動ハンドル式の懐中電灯で進みながらべちゃべちゃとイチャつくカップル。
札幌か、コレ。
などと思えていた。
普段よりそんな連中が異様に見える。
ていうか、こんな事態に陥ってるからこそ、奴らの抑圧された本能が滲み出てるのか。
知らんけど、だんだん腹が立ってきた。
アウトローどもが俺になんかしてきたら、必ずウンコなすってやろうと思っていた。
俺はギャッツビーのデオドラントシートを持っている。
なすった手はコシコシ拭けば良いのだ。
そのシートも食わしてやる。
バカヤロー!
俺も抑圧されたものが噴き出しかけていたのかもしれない。
所詮は連中と一緒のハナクソ野郎なんじゃないかとしょんぼりもした。
こんなに暗けりゃ星は綺麗なんだろうけども、俺の目には届かない。
時刻は20時を回ろうとしていただろうか。
1時間は歩いたようだ。
友達とLINEをしながら進んでいた。
恋人に会いに行くぜって伝えたら、だいたいみんなビビっていた。
それが逆に燃えた。
恋人には電話で、危ないから引き返してと言われた。
それが逆に燃えた。
なに、この高揚感。
なにこれ、俺。
俺、めっちゃ生きてる。
ゴアテックスのジャックパーセルは、右足より早く左足を出す。
左足より早く右足を出す。
さっきまでのマイナーモードを払拭するかの如く、俺は力強く帆を進めた。
豊平川が見えてきた。
川面は真っ黒だけれど、橋を渡りながら俺は考えていた。
左に曲がれば帰れる。
自分ちに。
ブタ小屋に。
だが断るッ!
春になったら、豊平川で、君の夢を聞かせてくれないか、とチンペイが歌う。
そして無法地帯苗穂に突入した俺は、最大の危機を迎えることになる。
人生は観覧車の中。
ブチャラティ!
