甘いものに興味はないのですが、エクレアならもらってやってもいいです。
眠りが浅く、かつ、寝つきの悪い俺は、早めに就寝したことに後悔した。
23時前には目を覚まし、ションベンを便槽に勢いよく奏でる。
さびしんぼパーマに叱られ、立ちションを封印していた俺だったが、我が家ならと黄金の雫が跳ねるのも厭わず、漢として堂々とジョボリンピックに身を委ねた。
iPhoneをいじくりまわし、チンプォーンをいじくりたおし、床に就いた。
再び目が覚める。
3時前。
6時半にはクソメロディのアラームをセットしていた俺は、ぼやきながらパンツ一丁のしなやかな裸体をくねらせ、桃色吐息を漏らしていたと思う。
その時だった。
窓ガラスがガタガタと揺れ、頭上のジャンプタワーがせめぎ合った。
地震だ。
CDが何枚か落ちたところで、俺はジャンプタワーとCD棚を抑えた。
ひゃあああああなどと情けなくもめんこい声を出していた。
長い。
揺れが長い。
死を予感した。
が、すぐさまマイナスイメージを振り払い、北斗の拳ばりに荒れ果てた大地を、裸一貫で突き進むしなやかな肉体の俺を思い描いた。
ヒーロー。
ヒーローになる時。
嗚呼、それは今。
世良もいいこと歌うじゃねえか!
何秒揺れたろうか。
ジャンプタワーが少し傾き、CDやそこらの小物が落ちた程度で済んだ。
河童の総大将からいただいた大型テレビを点け、NHKに合わせる。
速報が流れない。
もどかしい。
と思ったのも束の間、さすがNHK、仕事が早い。
速報だ。
ポロサツ、震度5。
バカヤロー、でけえじゃねえか!
946、震度3。
うむ、まあまあのスコア。
実家に電話をするも誰も出ず、兄に連絡するも、出ず。
え?
うそん。
とりあえず昂ぶった気を、明け方の湖の水面のように落ち着かせる為、俺は再度ションベンをしに行った。
今度は便座を下ろし、座ったままでいざ放尿ッ!
ジョボリンピック的にはサウンドが派手ではない為、ダイナミックさに欠けるが、技術点では文句なしの金メダル。
無事に流して、グッドラック。
そうして扇風機の回る、テレビ前にどっかと腰を下ろした矢先、扇風機がゆるやかに止まり、テレビの画面がスッと消えた。
停電だった。
人生初の緊張を覚える。
ブチャラティ!
