民主主義=多様性の力 | 辻雅之のだいたい日刊オピニオン
民主政治はどうやったらうまくいくのでしょう。

選挙で勝った政党が何をやってもいいのか? 与党の指導者が何をやってもいいのか? 民主主義の制度論としては正しいかも知れませんが、民主的競争に勝利した少数のエリートたちによる強力なリーダーシップだけが民主政治ではないはず。

むしろ、多様な意見、集団の多様性、個人の多様性が、時間はかかるかも知れないけども、結果的に最良の結果をもたらすのではないでしょうか。

集合知はあてになるのか、という主張に対する、集合知的なプロセスを擁護する立場からの答えとして著されたようなこの本。多様性は現代民主政治にとって大きな「力」であることを認識させられる一冊です。

そしてこの本を読んだあと感じたのは、意見の多様性を保持するのに必要な社会のあり方。異論を排除せず寛容さをもって対話するような社会。わが国が持つ言論の自由に支えられた意見の多様性が、ヒステリックなナショナリズムによってかき消され、中国のような国に近づくのは望みません。

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)/ジェームズ・スロウィッキー

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