ら、どんな気分になるのだろう。

とにかくバンドがしたくて大学に入って、サークルのコンピCD聴いて、ライブ見に行って、同期の皆に出会って、ライブしたり、オリジナルバンド組んだり、お酒飲むようになっ たり、人に会えなくなるくらい落ち込んだり、笑ってたら朝になってたり、引退して、思い出になってしまっていた日々がまた思いだされた。楽しいことも、つらいことも、悲しいことも、数えきれないくらいあった四年間で、忘れてしまいたいと思ったこともあったけど、最後にやった全員バンドの練習からの帰り道、早朝の三宮を皆で歩いてるとき、一回生の時に戻ったような気がして、そこからそれぞれ分かれて帰って行ってしまうのがすごくさみしくて、本当に今、この時間が止まればいいのにと思ったりした。

初めて貰ったちゃんとした寄せ書きで、こんなにたくさんの人が僕を知っていてくれ ていて、皆いいこと書いてくれてて、恥ずかしくて、表に出せなかったけど、すごくうれしかった。ありがとう。やっぱりタイムマシンがあったら4年前の自分に会いに行って、「お前の選択は正解だ」とほめてあげるかもしれない。

元来、人付き合いが苦手で、人の心に触れるのが怖くて、誰かと親しくなれば、それを自分で壊してしまったり、逃げ出したりしてしまったりして、だから他人とは距離を置いて、親しくなりすぎないようにしてきた。僕のことを少しでも考えてくれたことのある人なら、わかるかもしれない。結局この4年間もあんまり変われず、素直になるのは怖くて、照れくさくて、でも、もう最後になりそうだから、ちょっとだけ素直に、正直に、自分の思ってることを書いてみようと思った。

一日たって、それぞれの生活に 戻って、きっとあと何日かして、春の香りがするようになったら、皆また新しい日々が始まって、そういう日常や、慣れでこの四年間をいい思い出にしたり、忘れてしまうのは簡単だし、そうなってしまうのかもしれないけど、どうしても、仕方ないって片づけたくなくなった。

人って変わっていってしまって、ずっとこのままでいたいと思っていても、少しの時間で離れていってしまったりするのかもしれないけど、それは さみしくて、悲しくて、嫌だ。言わなくちゃいけないことや、伝えないといけない、大事なことを、ちゃんと口にすることは出来なかったけど、せめて、お願い だから、忘れないでほしい。ずっと、僕の一番大切なものでいてほしい。お願いします。おわり。

僕らは透かし彫りの生命と呼ばれる。
僕らの個性は、相手の個性に「削り取られて」形成される。相手と自分、二人で一つの塊になる。だから僕らは、彼らより長く生きねばならない。
彼女の個性に削り取られて僕の無個性は生まれ、彼女の感性に削り取られて僕の不感性は生まれ、彼女の賢明さに削り取られて僕の愚かさは生まれた。
今彼女がいなくなり、残された僕はと言えば、歪に削り取られた透かし彫りだ。不安定で今にも崩れそうな危うい生き物だ。
深く思案してしまう自分の愚かさを呪いながら、僕は彼女の賢明さを恨み、今日も床につく。
一人の生活は思ったより難しかった。
家事一般は大して煩わしくもない、というより以前から自分がしていたので変わりもしなかった。だが、一人の時間が増えた。
欲求の薄い僕にとって、余暇は苦痛だった。これもあの女が貪欲だったせいだと思った。
打つ手なく、とりあえず生前の彼女の真似をして過ごした。月を喜び、せせらぎに触れ、虫の声を聞いた。
空虚だった。当然と言えば当然のことだった。僕らは楽しむ側ではなく、楽しませる側として作られている。
タイムの香りを嗅いだとき、彼女の物真似は無為だと気付いた。僕の鼻はその程度なのだから。
代わりに思案する時間が増えた。彼女のことや自分のことをつらつらと無意味に考える。未だ何一つの答えも得られてはいない。