売上2億円未満で赤字の会社が、私の投資する会社のパターンだ。
初めから条件を決めていた訳ではないが、実際に投資をした会社を
並べて共通点を抽出すると、そういうことになった。あまり社員の多い
会社はターゲットではなく、社員数50名以下というのが意識している
ことであり、実際は社員数20名未満の会社がほとんどである。
投資回収プランは、以前はIPO中心だったので、売上10億円以上、
利益2億円以上まで成長させるのが、主な仕事だという自覚がある。
数々の経験を経てきて、最近は成功パターンがやっと出来つつある。
例えば、売上1億5千万円、社員数20名、数千万円の赤字の会社に
1億円投資したとする。投資するからには、いろいろと強みはあるの
だが、企業の潜在力が売上に結実していないケースが殆どである。
従って、まずは売上を伸ばすことに集中する。社内を徘徊している
営業さんに外に出てもらい、月次の仮説検証をきちんと行い、企業
認知を進めるとともに、売れ筋を見極めていく。
収益パターンが確立していない段階で、売上を伸ばせば、余計な
出費もかさみ、赤字幅が拡大することもある。投資した資金で持ち
堪える限り、売上伸張に挑戦する。当面の売上目標は、5億円。
2~3年で到達することを必須条件にすれば、1億円で足りる。瞬間
的には非効率なことも起こるが、正解を探しているよりは、実践から
学ぶほうが、儲かる仕組みを早く手に入れることができる。
月次でアクションプランを作成し、仮説検証をスピーディーに回す
ノウハウは、それなりに確立し、6割以上の成功率を収めている。
難しいのは、その後の成長戦略で、未だに試行錯誤を続けている。
売上5億円まで到達した時、そのまま売上を伸ばすことを続けるか、
利益重視に切り替えるかは、微妙な判断である。過去の経験では、
売上が伸びた成功体験に乗り、売上増加戦略を変えなかったが、
ほとんどの会社では失敗した。社員数で言えば、40人以上になっ
ており、仕組みで動かす配慮が足りなかった事が原因だと思う。
逆に、売上増加を一旦あきらめ、利益をきちんと残すことに方向転
換した会社は、一休みの後、売上増加が始まり、きちんとIPOまで
漕ぎつけた。従って、黒字基調になった段階で、儲かる仕組みが
続くことに重点を移し、利益を残すことに注力した方が、成長を継続
できるようである。
売上を伸ばすか、利益を残すか、自社が取るべき戦略はどちらな
のかは、年度計画を作る際に検討すべき最も重要な事項である。
成長を継続するには、過去の戦略の見直しが欠かせない。
2008.3.1