製作年度:1998年 製作国・地域: アメリカ 上映時間: 108分
【※ネタバレ含みます。知りたくない人は右上のバツを押すべし。】
フロリダ州の静かな港町ブルーベイ。
高校の進路指導教諭サム・ロンバード(マット・ディロン)は、
教え子でもあるケリー(デニス・リチャーズ)から
レイプされたと訴えられる。
サムが生徒から人気のある教師だったことや
ケリーの母サンドラ(テレサ・ラッセル)が
地元でも有名な富豪だったことから、
センセーショナルな事件として町を大きく賑わす事態へと発展し・・・。
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ケヴィン・ベーコンが製作総指揮を取った本作。
セクシャルサスペンス映画と銘打ってシリーズ化され、
ビデオムービーとして続編が4まで出ています。
シリーズ化されていることをまったく知らずに、
TSUTAYAで「ワイルドシングス」の文字面だけを見てDVDを手に取り、
結果、観終わってレビューを書こうとするまで、
自分が借りたDVDが【ワイルドシングス4】だったことに
気付きませんでした!なんてこった!
子供の頃、カップヌードルのカレー味を頼んだのに、
自覚もなくシーフード味を買ってくる母親を理解できませんでしたが、
いまならその頃の母親の気持ちが理解できそうです。
そんなわけで、やっと観ました【ワイルドシングス】。
この映画を観終わってまず抱いた感想は、
「深夜にやることないときに、テレビで放送しててほしい」でした。
どういうことかというと、
あまり腰を据えて緊張して鑑賞する作品じゃないなと。
ぼんやりと何の気なしに観る分には、展開が派手なので、
頭からっぽ状態で楽しめる映画だと思います。
ものすごく雑にネタバレ全開で、冒頭の大筋を振り返ってみる・・・
①サム(マット・ディロン)、ケリー(デニス・リチャーズ)に
レイプ容疑で訴えられる。
②サム、ボウデン弁護士(ビル・マーレイ)に弁護を依頼する。
③地元警察の刑事レイ・デュケ(ケヴィン・ベーコン)の捜査の結果、
ケリーの同級生スージー(ネーブ・キャンベル)も
過去、サムにレイプされていたことがわかる。
まず、事件の発端が描かれます。
ここから裁判シーン。
結果、サムに恨みを持ったケリーとスージーの偽証が暴かれ、
サムは無実を勝ち取ると同時に、逆にケリーを訴え、大金を手にする。
ケリーの母サンドラは地元でも有名な大富豪。
今後遊んで暮らせるだけのお金を手にしたサムの元に、
なぜかケリーとスージーの姿が。
そう、実はサンドラから大金を騙しとる為に仕組んだ
3人の共謀だったのだ!
・・・ここまではわかります。
「お、なるほど!面白い!」気持ちよく裏切られ、
サスペンス映画として素直に楽しめました。
ただ、レビュアーの多くの人が、
「ドンデン返し多過ぎ」と語るように、
ここからはもう真相の大安売り。
実は・・・実は・・・実は・・・
からのぉ~!からのぉ~!からのぉ~!
もう途中から、これはコント的に楽しむ映画だとシフトを変えましたよ。
おかげで最後まで楽しく観れました。
エンドクレジットに「もうえぇわ!」と
笑顔でツッコミたくなったのは初めてです。
そもそもサスペンス映画というのは
伏線があって、それを回収するからこそ生まれる
驚きと興奮があるんですけど、この映画では伏線が張られません。
唐突に「真犯人はコイツでした」が、
ざっと5回以上繰り返されます。
これって結構、異常な作りです。
なので、他の人のレビューで「たしかに騙されました」と
書いてる人が多かったけど、当たり前なんです。
逆にこれを勘や、シナリオ的にこいつだろうなという経験則じゃなく、
ストーリーを追うことで犯人を当てられたと言い張る人がいたら
その人を疑って下さい。きっとあまり賢くないです。
何せ、伏線がないので、わかる道理がないわけで。
言ってしまえば後出しジャンケンなんですよね。
これをズルいと腐す必要もなく、
良い意味でB級サスペンスムービーなんだと思います。
もうだって、最後の方とか絶対 悪ノリですもん。
大筋の続き・・・
④スージーが口割るのを危惧し、サムとケリーでスージー殺害
⑤デュケ刑事がスージーの歯や血痕を発見し、
ケリーが事件に関わっていると見て、ケリー宅訪問。
もみ合いとなり自衛の為に、デュケはケリーを射殺。
⑥リゾート地でくつろぐサムの元にデュケが訪れる。
中盤以降は「製作陣やけくそか!」と思うような、とんでも展開の連続。
まず、実はこの事件の真相はサムとデュケの共謀計画だったという。
「筋書き通りだぜ相棒!わっはっは!」と、ヨットで沖合いに出る。
この時点で、なんでもありだなと思っていたオレは甘かった。
⑦サムは大金を独り占めしようとデュケの殺害を試みる。
⑧反撃するデュケをどこからか現れた第三者がボーガンで殺害。
まだ続くんかい!
どこまでもな映画だぜ・・・とはにかんでいると、
その第三者というのが、死んだはずのスージーという。
実は偽装死で、サムとスージーは組んでいたのだ!
もう、驚きじゃなく笑えてきますよね。
途中は大味すぎる作りに少し眉間にシワが寄っていたけれど、
ここまで振り切ってくれると面白くなってきます・・・
・・・と思ったのも束の間!!
⑨サム、スージーに毒殺される
終わりなき物語!もうこのへんになると拍手です。
その後は、後日談的にスージーをよく知る男が・・・
「彼女はIQ200の天才児だったよ」
・・・と語ったりするんだけど、
この「IQ200」っていうのもバカっぽくて良いですよね。
ケヴィン・ベーコン厨二病説の疑いあり。
で、やっとエンドクレジット。
ついに終わりなき物語が終わった。
一息ついていると、それまでの経緯や、裏でのやりとりが、
フラッシュバックのように差し込まれていきます。
ジャッキーチェンのNGシーン的な感じで。
朗らかな顔でそれを見守っていると、
時系列的にラストの件を追い越し、
事件のその後のシーンが描かれます。
⑩浜に戻ったスージーに大金を手渡すボウデン弁護士
もうえぇわ!
どうもありがとうございましたぁ~!
やりよったなベーコン。
これ狙ってやってたらある意味センスあると思う。
でね!!
ここにきて【ワイルドシングス4】を観たことが活きてくるんだけど、
4も、びっくりするくらい同じ展開なんですよ。
シリーズって普通、世界観を継承しつつも、
新しい提示があるもんじゃないですか?
一切ないです、マジで。
これ見た後に4観たら、たぶん大爆笑してたと思います。
女2人がレイプ偽証して、結果敗訴して、
男が大金を手にして、実は3人の共謀でしたぁ~からの3P。
女死んで、男死んで、実はこいつが黒幕で、かと思いきやこいつで・・・
ビックリすると思いますよ本当。
しかも最後、船乗って同じように殺し合います。
さらに女が最終的に生き残り、浜辺に戻ると弁護士の姿・・・
・・・ここまでいっしょなんですよ?!
もうね、古典落語を継承するかのように、
このフォーマットを100年後に残そうとでも思っているのかと。
正気の沙汰とは思えない脚本。
ただぁ~し!!
安心して下さい。やっぱりそこは4ですよ。
レベルアップしてますからご心配なく。
1では最後、弁護士が金を女に渡して終わりましたよね。
4では最後、弁護士が女殺して終わります。
もうえぇわ!
本当にどうもありがとうございました!
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次回、更新予定の映画タイトルは
【アヒルと鴨のコインロッカー】です。
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これきっかけで観てみ。