『ここまでやってくれるホームもある』 | 有料老人ホーム入居支援センター 代表理事 上岡榮信のブログ 「終の棲家通信」

有料老人ホーム入居支援センター 代表理事 上岡榮信のブログ 「終の棲家通信」

国内外合わせて1400箇所以上の施設を自分の目で確かめてきた「老人ホームの目利き」上岡榮信(うえおかしげのぶ)が、老人ホームのことはもちろん、国内や海外で出会った企業・組織・人などの印象深いお話を中心にお届けします。


 当センターの三大事業は高齢者の皆様の自宅以外のあらゆる住まいの『評価』、運営法人の


 『格付け』、更に運営法人を精選しRISオペレーターを『認定』することである。


 (追加事業として、福祉・介護学校卒業生の人材紹介とスマホによる老人ホーム診断士検定


 事業を準備中である)




 但し、これらの結果は一般に公開、公表を目的にするものではなく、入居者、ご家族に安心


 快適、便利なホームを推選するための情報、データとして利用する為のツールである。



 拙著に記した通り、推選の基準は、『親に薦めたい!自分も入りたい!友人にも教えたい!


 自宅に勝る終の棲家』であり、どんな認知症でも受け入れてくれ、最期の看取りまで大切に


 お世話をしてくれる特別に秀逸なホームを探し、比べ、選ぶために欠かせないのである。


 今回は4月12日現在までに訪問した956ホームのなかでここまでやってくれるのかという


 事例をいくつかご紹介する。



 敬意を表する、驚く内容は、経営者が入居者に対してここまでやっているというだけでなく


 職員にたいしての配慮、制度、思いやりの両方である。 確かに入居者の納得、満足、家族の


 安心、感謝は直接には日々入居者に接する職員の人柄や、サービスであるが、それを可能に


 するのは経営者の人材の採用、教育、訓練、福利厚生に加え、常に優しく、丁寧に、1人、1人


 のお客様に接する、モチベーションを高め、維持させる経営者の思いと努力である。



 一番目は、入居の個別ケアという言葉をよく耳にするがこの実態、実際はどういうものであろうか。


 あるホームの女性施設長さんによると入居された高齢者の皆様は、必ずしも自ら進んで入居


 されることはなく、仕方なく,あるいは状況がよくわからず入居され、落ち着かない方、なかなか


 ホームの新たな環境に馴染めない方も多いという。 このホームでは入居前の自宅訪問と面談


 は一切行わないこともユニークで、その理由はこのホームを気に入って、選んで下さったお客様


 は、感染症とか特にもんだいのある精神障害以外はお断りすることはないからとのこと。



 当センターに相談にみえる皆様の半分くらいは、デイサービスや、施設での子供っぽい?


 レクレーションや、お遊戯の類には参加したくないと明言される。



 但し、ホームの現場では、5つのADLでさえ、ケアを受ける側も、お世話する側も安心と信頼の


 下に気持ちよく、スムーズに行うには、心や、気持ちが閉ざされたまま、開かれていなければ


 ケア、サービスの意味がないのである。 食事、入浴、移動、身繕い、排泄を介助すれば給付金


 はもらえるが、満足と感謝は得られないのである。



 このホームでは、閉じこもりがちな方、口を聞かない方、被害妄想の方、打ち解けない方等など、


 1人、1人にあらゆる試み、音楽、歌、踊り、習字、かるた、外出・外食、英会話?折り紙などを


 押し付けることなく、お見せしたり、お誘いしたり、試して気持ちをほぐし、打ち解けるのを見守り、


 時間をかけてホームに溶け込んでもらう努力をたゆまず続けておられる。


 これは時間と辛抱がいることだが、職員にも強制することなく、できることを評価し、最後には


 全ての作業項目が 『丸』 になるような指導をされていた。



 二番目は、高齢者とあらゆる世代を雇用し、参加させて明るい、活気ある、地域に根ざした


 ホームの取り組みである。 グループ全体で500人ほどの職員で10箇所ほどの施設を運営


 されているが正社員は1割強、残りというか大半はパートの職員さんで全体の3割前後が65歳


 以上という点、また能力だけのエリートは不要、逆にヤンキー、茶髪、ピアス、ニート歓迎という


 一見破天荒?な採用ポリシーである。 最年長のパート職員は85歳という、しかしながら1人と


 してやる気のない、ふて喰された、ストレスを溜めた、不安、不満を持った職員は見当たらない。



 毎年は2~3回の賞与は大金?ではないが、創業者である女性会長が自ら現金で1人づつ


 感謝と激励の言葉(1人、1人、異なる直属の上司の褒め言葉)とともに手渡しするそうだ。


 このホームには地域と職員のための館内託児所もあり、毎日決まった時間に入居者のところに


 出向き、挨拶し、遊ぶ交流がある。



 三番目は、700人近い職員の福利厚生制度の中で、女性のための産休の配慮である。


 通常法律では産前6週間、産後8週間が認められているそうだが、このホームでは産前が8週間


 産後も8週間と2週間多い。



 この追加の産前2週間は時間単位で自由に申請し、使えるようになっているのが特徴。


 これは現場から、産前、産後も厳しいが、悪阻の時に時間単位で使えたらという要望を


 配慮した結果とのこと。


 現場の、現実の声に耳を傾け、実現した男性経営者に脱帽である。



 ほかにもこの法人では、毎年7~8名の正社員を採用するが、6ヶ月間の現場研修を通じて


 理念と仕事を理解してもらい、生涯の職場として入社する結果10年間で、1年以内の離職者


 は1名のみとのこと。 入居者に満足するホーム、家族が安心感謝するホームは、職員にも


 金融機関にも、地主さんにも、地域にも頼もしいホームである。

 


 2614-4-07