死神と不幸
不幸な男が毎日
死神に救いを求めていた
「死神よ! 彼は言った。なんて美しいんだ!
早く来て、わたしの残酷な運命を終わらせてください。
死神は来ながら、実際そうしなければならないだろうと思った。
ドアを叩き、家の中に入り、姿を見せた。
「なんだ、これは! 男は叫んだ。こいつをどけてくれ。
なんて醜いんだ! こんな出会いは
恐怖と嫌悪をもよおすだけだ。
近寄るな、おお、死神よ! ひっこめ、死神!」
メセナ(注1)は粋な男だった。
どこかで彼は言った。
間抜け、痛風病み、不器用な男も
わたしをだいじにしてくれる。
結局、わたしは生きててとても満足だ。
もう来ないでくれ、死神よ!
来てくれと言ったのとまったく同じように
そう言おう。
<注>
この寓話は「樵と死神」と一対になっている。(次回投稿)
一見相反するかに見える「死」と「生」が、実は密接に関係し、一体となっている様をこの寓話で表現した。これも、イソップの優れた寓話をラ・フォンテーヌ流に書いたものだが、知人から酷評され、それに応えて「樵と死神」を書いた。死神と生(あるいは乙女)のテーマはヨーロッパの絵画、文藝で多く扱われている。
(1)ローマ時代の騎士の名(Mécène)から随想録の著者モンテーニュが Mécénas メセナ と名づけた。騎士メセヌは詩人のホラチウス、ウエルギリウスなどとも親しく交わり、文藝、アートの保護者となった。
LA MORT ET LE MALHEUREUX
Un Malheureux appelait tous les jours
La mort à son secours;
Ô Mort, lui disait-il, que tu me sembles belle !
Viens vite, viens finir ma fortune cruelle.
La mort crut en venant, l'obliger en effet.
Elle frappe à sa porte, elle entre, elle se montre.
Que vois-je ! cria-t-il, ôtez-moi cet objet ;
Qu'il est hideux ! que sa rencontre
Me cause d'horreur et d'effroi !
N'approche pas, ô Mort ; ô Mort, retire-toi.
Mécénas (1) fut un galant homme :
Il a dit quelque part : Qu'on me rende impotent,
Cul-de-jatte, goutteux, manchot, pourvu qu'en somme
Je vive, c'est assez, je suis plus que content.
Ne viens jamais, ô Mort ; on t'en dit tout autant.

