ラ・フォンテーヌの寓話 その① キリギリスと蟻 | 雷神トールのブログ

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キリギリスと蟻


キリギリスはひと夏じゅう鳴き続け

冬が来たときには

蝿や小虫のひとかけらもない無一物になった。

キリギリスはお隣の蟻の家にゆき

飢えを嘆いた。

つぎの夏まで生きてゆけるよう

なにがしかの食べ物を貸してくれと

哀願した。

「お払いしますから」とキリギリスは蟻に言った。

「夏の前に、生き物の名誉にかけて、

利息と元本を」

蟻は気前のよい金貸しではなかった。

蟻が持つ僅かの欠点がそれだ。

「暖かい時、なにしてたんだね?」

蟻はこの物乞いに言った。

―― 夜も昼も だれにでも

歌ってました、憚りながら。

―― 歌ってただって! おおいに結構。

それじゃ! こんどは踊りなさいよ。」

 

原典のテキストは ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ ↓

 

 

Jean de La Fontaine (1621.7.8 Chateau Thierryに生れ、 1695.4.13 Parisに没す)

 

ルイ14世の宮廷で、ラ・フォンテーヌは財務長官のフーケの側近だったため、冷遇されますが、宮廷の外辺に居たために、却って冷静に人物を観察でき、モラリストと呼ばれる、人心観察から出た寓話、コントをたくさん書きました。追々書いて行きたいと思います。

 

典拠にするテキストは、

Kindle 版 全集 (全425点:243の寓話、72のコント、78の詩、6つの脚本、書簡など)です。

 

今回の「キリギリスと蟻」は「寓話=les Fables」の冒頭に出て来るお話です。ラ・フォンテーヌはギリシャの「イソップ物語」を下敷きにしてこの寓話集を作りました。

 

なお、Kindle 版では最近、パブリック・ドメイン入りした書籍、フランスの古典文学のほとんどが全集の形で、タダ同然(1€前後)でダウンロードできるのでとても重宝しています。

 

原文は詩の形で韻を踏んでいます。

フランス語がわかる方々のために原文を載せておきます。

なお、フランス語のアクサン(とくにアクサン・シルコンフレックス)が

巧く表示できないことがあるのでご理解ください。

 

La Cigale et la Fourmi

La cigale, ayant chanté

Tout l'été,

Se trouva fort dépourvue

Quand la bise fut venue:

Pas un seul petit morceau

De mouche ou de vermisseau.

Elle alla crier famine

Chez la fourmi sa voisine,

La priant de lui preter

Quelque grain pour subsister

Jusqu'à la saison nouvelle.

<< Je vous paierai, lui dit-elle,

Avant l'Out, foi d'animal,

Intéret et principal.>>

La fourmi n'est pas preteuse:

C'est là son moindre défaut.

<< Que faisiez-vous au temps chaud ?

Dit-elle à cette emprunteuse.

― Nuit et jour à tout venant

Je chantais, ne vous déplaise.

― Vous chantiez ! j'en suis fort aise.

Eh bien ! dansez maintenant.>>

 

 

(つづく)

 

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