デイノは4匹兄妹の中でいちばんの食いしん坊だ。フランスではグルメとグルマンがあって、グルメは食通、量よりも質、美味しいものを少しでいいから食べるのが好き、というやつ。ウチではチュウジとトラジニがそれだ。対して、グルマンは食い気が発達してて、たいていのものはガツガツ食べてしまう。量も多く食べる。
デイノとまだ未成年のデランカンがそうだ。この二人は太っていて、歩く姿がユーモラスだ。とくにデランカンは、幼いときに食べ過ぎて腹がでてしまい、少し痩せたものの腹の皮だけが垂れ下がってしまい、歩くと左右にぶらぶら揺れるのが面白い。
まだ仔猫のデランカン。眼が丸いので別名「まるめ」の三吉。耳の内側に青いタトウが見えます。
デイノは、フランスの野良猫(シャ・ド・グチエール)の典型的な猫だ。グレーがかった茶と黒に近いこげ茶でトラ模様の毛皮を着ている。
デイノはカミサンが可愛がったのに車に轢かれて死んでしまったデイナのすぐ後に来た雄猫なので、デイノと名づけた。
ミクロクロの4匹生き残った仔猫で一番最初に風邪に罹り犬猫病院に連れて行った猫だ。その頃は、4匹とも野生が強くて、手を延ばすと逃げて捕まえられなかった。デイノだけがおとなしく手を触れることが出来た。
デイノの歩き方が他のネコと違ってて、どたどた、ヨタヨタと歩く。両の前足に力が入れて歩くので、重々しい感じになる。身体の色からして、どこかガラパゴス島のトカゲみたいだ、とカミサンと笑った。ちょうどテレビでコモドールの大トカゲを映したので、Komodo の怪獣って呼ぼうかなどと話したが、可哀想なので、やっぱりデイノのままにした。
運動能力がトラジニやチュウジに劣る、ていうか、走るのは早いが木登りは苦手で、高いところへは登れない。だいいち、子供の頃は餌が置いてあるアイロン台にも上れなかった。ほかのネコが軽々さっといっぱつで飛び乗るのに、デイノはやっと前足を板に掛けるぐらいで、両前足の爪を立てて必死に上ろうとするが、尻の重みでずるずると 落ちてしまうのだった。
しかし、他の猫にない愛嬌がある。人の顔を見ると、たいてい話しかけるか、なにか反応を示す。ときに「わん」に「にゃあ」が混じった「わにゃ」と聴こえる声を発する。それも、犬みたく短い声をたてる。「にゃあ」じゃなく「わん」と、犬が吠えるみたいに鳴くのです。
朝は、寝室に猫たちがやって来て、ドアを開けて外へ出してくれ、とベッドの縁に爪を立てる。お蔭でベッドの縁はボロボロ。爪を立てるのはいちばんの古顔のチビトラで、一緒に出てゆくのはトラジニとミネット。デイノは早朝には出てゆかない。
その代り、寝室に置いてある猫のトイレで用足しをする。身体が大きいから出るお叱呼の量も相当なもので、優に30秒はかかる。吸湿力が良い顆粒を使ってるが、顆粒を手で掻きよせる代わりに、容器のプラスチックの縁を掻くのが仔猫の時からの癖で、大きくなった今も、その癖が抜けない。





