ウランを使わない原発 | 雷神トールのブログ

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トリウム発電について考える

地球温暖化による被害が日に日に明らかになって来たので、CO2を排出する火力発電はもうやめなければならない。比較的クリーンといわれるLNG(液化天然ガス)にしても、ひとたびタンカーから漏れ出て海面に広がり引火したら爆発の被害はそれこそ想像を絶するほどで、シュミレーションをやった機関(消防庁だったか海上保安庁だったか?)はパニックを怖れて公表を差し控えたほどだ。水力発電にもダム崩壊という危険はある。エネルギーを得るには危険を覚悟する必要がある。

炭酸ガスを大量に放出せず、しかもごく少量の燃料から膨大なエネルギーが放出されるのは放射性物質の核分裂を利用した原発であり、日本の現在の産業と都市社会が必要とするエネルギーをまかなうには原発しかない、というのが原発推進派の論理であって、CO2を排出しないクリーンなエネルギーということに多くの国民は多少危険でもやむを得ないのではないか? と考え原発の再稼働を容認、黙認しているのが現状のようだ。

だが、おなじ原発にも、遥かに安全で、小型で安価な原発があるという事実を国民の多くが知ったら現状は少しは変わるのではないか? 多くの人は知らず、原発といえばウラン235を燃料に使うものだと思い込んでいる。筆者もその一人であるが、偶然見つけたこの本(「トリウム原子炉の道」――世界の現況と開発秘史、リチャード・マーチン著、野島圭子訳、朝日選書)により、「トリウム原発」があることを知った。

本書の帯にはこうある:「ウランを使わない原子炉があった。第二次大戦後の
開発期に、数々の利点をもつトリウム原発はウラン原発に敗れ、歴史の舞台から消えた。しかしウラン原発の行きづまりと共に中国、インドを含む各国でトリウム原発は再び注目を集めている。復活の流れを紹介し、消された歴史を明らかにする」

ひとりでも多くの人に「トリウム原子炉」を知ってもらいたいと思うので、この記事を投稿します。

私は相対論者だから、トリウム原発が絶対安全だなどとは思わないけれども、ウラン原発と比べれば遥かに、おそらく数千倍も安全だと思うので、なんとかして既存のウラン原発を廃止しトリウム原発を推進して欲しいと願うものである。

トリウム原子炉が100%安全だとは思わない。しかし、ウラン原発に比べてはるかに安全と思う。

ウラン原発が危険なのはウラン235が核分裂してプルトニウムに替わるからで、プルトニウムは核兵器の主要な爆薬なのだ。核拡散防止条約が議論されて結局合意に至らなかったのも、核兵器を保有する国連常任理事国とインドなど発展途上国の核保有の論理が噛みあわず妥協点を見出し得なかったからだ。

トリウム原発も少量のプルトニウムを出す。しかしこのプルトニウムは爆弾として使うには質の悪いプルトニウム。しかも、トリウム原発は副産物としてできるプルトニウムを燃料として消費するという利点をもつ。

ウラン原発を大規模に建設したフランスと日本は、高速増殖炉(フェニックス、スーパーフェニックス、もんじゅ)を建設し、ウラン原発から出て来るプルトニウムを再処理し再び使うことを目論んだが巧く稼働せず、冷却材のナトリウムは空気と触れると激しく燃える(爆発する)危険があるので廃炉もしくは運転停止された。現在もプロジェクトを続行しているのは日本だけ。プルトニウムの処理処分の問題は大きくなり続けている。

プルトニウムの消費の為モックスMOX 燃料が作られたが巧く行ってない。基本的にプルトニウムの処理に解決を見出していない。フランスのラ・アーグの使用済み核燃料処理工場のノウハウを日本は輸入し、青森県六が所村に建設したが15年以上経過し未だに正常に稼働していない。膨大なお金を注ぎ込んで、こんな結果で失望は大きい。賢明な科学技術者がたくさんいる筈の日本がどうしたことだろう?

70年代に原発を50基以上造ってしまった日本。原発村に加わっていなかったとしても、造らせてしまい、その電力により快適で豊かな消費生活を享受してきた都市生活者は、ウラン原発を造った後始末をしなければならない。

これから建設後40年以上経ち寿命が来て廃炉、解体される原発から大量の放射性廃棄物がたくさん出て来る。放射能のゴミをどこへどうやって捨て、管理するかが今後差し迫った問題となる。このゴミは我々の世代だけでなく、数百年、長いものは数万年もの気の遠くなるような時間危険でありつづける。

ウラン原発は固体燃料を燃やすので、天然にはごく少量しか存在しないウラン235を3%まで濃縮し、ペレット状にしてジルコニウムの鞘に入れて棒状の燃料にする。そこまでの工程だけでも相当のエネルギーと経費がかかる。ウランは他の化石燃料と同じく地球上の有限な資源でしかありえない。

ウラン燃料は原子炉から取り出してからも冷却に3年も掛かる。いちばんの問題はメルトダウン。福島第一で起きたメルトダウンは燃料がいまだにどんな状態かもどこにあるのかすらも判っていない。

冷却水を循環するためのポンプを動かす電力が途絶えてしまった結果、炉心の温度が上がり冷却水の水位が下がりジルコニウムの燃料棒が露出してメルトダウンが起こった。同時に水素が発生し、加圧してある格納容器から漏れ出し、建屋の上部に溜まって水素爆発が起こった。爆発に伴い、数種の放射性物質が大気中に放出された。


トリウム原発は液状(
熔融塩)の燃料を常温常圧の下で運転するのでメルトダウンの危険が無い。放射性物質が外部に漏れだす危険も無い。たとえすべての電源が失われたとしても、液状の燃料は自然に下のプールに流れ落ち、短時間で冷却してガラス状の固体となる。

トリウム熔融塩炉というのは、LiF-BeF2というフッ化物熔融塩に、親物質としてのトリウムと、核分裂性物質のウランまたはプルトニウムを混合し、それを液体燃料として用いる。

 (つづく)

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