中心になって働いてくれたのは、高校の時の同級生や同期生でした。それに偶然が、僕にとっては天恵としか言いようのない形で重なって、こころの奥の方で、もしこんなふうにできたらなあと希望的に夢想していたことが、具体的な形をとって現れ、今を逃しては夢想が実現できない。いろんな意味で、これが最後のチャンスだと悟って夢想の実現に向かって動き出したありさまです。そうしたものの全体が僕には「ふるさと」だなあ~と感じさせるなにかなのでした。
20年ほど前に、カナダで建築家賞を獲った旧友の祝いに、僕とKが、それぞれ大西洋と太平洋を越えて、エドモントンで会おうとしたのですが、複数の事業を抱えて超多忙なKが直前に都合がつかなくなって、僕だけNに遭いに行ったのでした。今度、3人が揃って同じ電車の向かい合わせのシートに座り、Kの実家のある茅野へ行くことができたのは20年前果たせなかった夢の実現でした。
新宿駅の中央本線松本行き特急スーパー「あずさ」の乗車ホームで落ち合いました。
車内ではKがますます巧みになった話術を披露してくれました。僕とNはもっぱら聞き役です。
まだ雪の残る茅野駅。
奥様が車で出迎えてくださいました。
Kの家は鉄筋の3階建ての豪邸です。夕食前のお茶を頂きました。この地方きっての特別美味しい野沢菜と大根のお漬物でした。
上諏訪温泉のホテルに移動し3人で温泉に漬かった後、Kが行きつけの料亭に連れて行ってくれて晩餐をご馳走になりました。
僕は残念なことに風邪を引いたらしく、せっかくの鱶鰭入りの日本酒や和食のご馳走を食べられずもったいないことをしてしまいました。
今年の2月初めに安曇野に移って来たばかりのSさんに翌日の待ち合わせの連絡をします。Sさんとは高校2年の時に同級でした。秋の学園祭に僕らのクラスが行った劇に共演しました。Sさんは「ドモ又の死」(有島武郎作)の主役の「ともちゃん」を演じ、僕はどもりの画家でほとんどセリフのないドモ又の役を演じました。
Kは翌朝になってからも、こっちの方が眺めがいいからと、諏訪湖の全貌が見渡せる山の上のお蕎麦屋さんに変更し、電車の時刻をSさんに連絡していました。さすがは営業だね。設営に念が入ってる。Nも僕も感心したものでした。
お昼までの時間、Kが運転する日産の大型乗用車で諏訪湖を巡る道を走り、諏訪大社本宮へお参りをしました。雪が融け切らずにあちこちに残っています。諏訪大社は日本最古の神社の一つで、古事記に国譲りに反対し諏訪の地へ出て来た神様を祀ると記されているほどです。
数え年の7年に一回、寅と申の年に催される「御柱(おんばしら)」祭りで有名です。樹齢約200年の樅の大木を切り倒し、人力で牽き降ろし、湖にどぼんと落とす、「木落し」は勇壮で男の肝試しとされ、死傷者がでるほどに熱中するそうです。
太く長い大木を湖にズボっと漬ける。なにやら性的な象徴とも解釈できそうです。神話には大抵精神分析家から見ると生の象徴である性的な
ものとの関連があるようですね。
山の上のお蕎麦屋さんで、4人で取った昼食が、僕にとって今後の人生を決める運命的な出会いとなったのでした。詳しくは、またその機会が来た時にご報告とさせて頂きます。
つづく










