ド・ゴール回想録 | 雷神トールのブログ

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オークセールは、めのおが住んでるヨンヌ県の県庁所在地。人口は4万人と日本から見れば小さな街ですが、この近辺で5千人以上の町村は大都会!なんです。ちょうど50kmの距離。途中の景色がいいので時々用事を作ってはでかけます。

街の中心は古い時計塔が残ってるコルドリエ広場。市役所もそこにあります。


フランスの田舎暮らし-時計塔

時計の下を通ってブテック街へ続く敷石道には、変わった彫刻があります。18世紀の社会派作家レテフ・ド・ブルトンヌの像ですね。彼はこの近くの印刷所で職工として働きながら本を書きました。世界で最初に「著作権」を主張した人です↓

フランスの田舎暮らし-ブルトン



時計塔の下は通らず手前で曲がって市役所のパーキングを横切り、ブテックが並ぶ商店街へ抜ける裏道に、大きな古本屋さんを見つけたのは近年の大収穫でした。

この古本屋さんを見つけるまでは、アーケードの中の、一階がCDやDVD、二階が本と文房具を売ってる店へ行ってましたが、いつも閑散としてると思ってたら、先ごろ閉店してしまいました。

古本屋さんは、奥が深く、中年の背の高いご婦人が店番をして、入ると話しかけてくるので、つい「○○の本、ありますか?」と訊いてしまう。本棚の隅々まで熟知してる様子で、即座に、2・3点おなじ著者の本を出してくれます。

先日は「シャルル・ド・ゴールの回想録、ありますか?」と訊ねると、脚立に上って、ものの30秒しないうちに2種類出してくれました。

ご承知のように、シャルル・ド・ゴールは第二次大戦後のフランスを率いて国際的地位を回復した立役者であり、まさに英雄視されていた大統領です。

その回想録は、チャーチルの回想録と並んで、第二次大戦の詳細を知るうえで欠かせない記録。しかも読んで面白い大ベストセラーです。

プレイヤッド版がコンパクトで好いかとも思ったのですが、Amazon で探すと66€と高いんです。ドゴール回想録は、クローデル、サルトルと並んでプレイヤッドのベストセラー。百万部を超えるとありました。

なるたけ紙の本は買わないようにし、古い大型の本は徐々にデジタル化(自炊というんだそうで)してますが、まだまだ、紙の臭いと手触りに愛着があります。

「こちらの方が、初版で価値があるし、読みやすいわよ」と薦めてくれたのは、パリのPlon 社から第1巻が1954年10月に刊行された3巻本で、各巻厚さが3センチ以上、縦22.5センチもあるフランス綴じの本でした。3巻で20€。

フランス綴じなんて、若い人は見たことがないと思いますが、印刷した大判の紙を折ったままで綴じてあり、読者が自分でペーパーナイフを使ってページを切って開きながら
読んでゆくという本なんです。


フランスの田舎暮らし-メモワール1



第1巻  L'APPEL 「呼びかけ」 1940~1942 巻末に地図付き 680ページ

第2巻  L'UNITE  「統一」 1942~1944   巻末に地図付き 712ページ

第3巻  LE SALUT 「救済」 1944~1946
巻末に地図付き 653ページ

まったく飾り気のない、実質だけの、いかにも資料という本です。

ご覧のように、大部な本なので、読み切れるか自信がありません。

前の持ち主は第3巻の前半まで読み、将軍が大統領になってからの時代のページは切ってありません。
 

ロマン・ロランが日記に書いてるように、1940年5月末、ナチス・ドイツはアルデンヌの森を破ってフランスに侵攻し、英仏連合軍はパニックに陥り、ダンケルクから船で命からがら逃げ延び、2週間後に、フランスは降伏条約に調印します。

ドゴール将軍は、降伏を不服としてロンドンに亡命し、ペタン元帥を長とするヴィシーに臨時政府から死刑の宣告を受けながら、「自由フランス」政府を樹立し、フランス国民にBBCラジオ放送を通じてレジスタンスを呼びかけ、チャーチルと米国、カナダなど連合軍を説得し、ノルマンデイー上陸作戦が成功した後、パリを迂回して真っ先にドイツへ進軍と決めていた連合軍を、パリへ向かわせ、自発的に蜂起したパリ市民を救い、ヒトラーの爆破命令が実行される直前にパリを救います。

いったん負けて降伏条約に調印した国は、内部で二つに分かれて内戦状態にあり、降伏を認めず交戦を主張した「自由フランス」が、大逆転劇、占領側ドイツを追い出し、ヴィシー協力政府の長ペタン元帥とピエール・ラバル首相に国家反逆罪で死刑を言い渡します。

ペタン元帥は軍人の誼というか、第一次大戦の英雄でもあったのでドゴールは死刑執行命令に署名せず恩赦しましたが、ラバルは死刑執行がなされました。

「アンナがいたパリ」で主人公の「ハジメ」が見つけた仕事先、ミニコミ新聞の編集長タヴェルは、このピエール・ラヴァルの曽孫だったのです。

国会議員が500人近くも居たにもかかわらず、パリを捨てて、国会も首相官邸も空き家にしたままドイツ軍の手に渡してしまう政治家とはいったいなんなのだろう? 

外国による占領という状態を理解したい欲求があるわけなんですが、「パリは燃えているか?」を見たら、若いベルモンド演じるレジスタンス闘士がパリ蜂起の日に、首相官邸に自転車で乗り付け「共和国の名において官邸を接収する」と声高らかに叫ぶと、職員たちは「はっ! 首相閣下」とたちまち命令に従うんです。

いったい、どうしてこんなことが可能なんだろうか? そのへんのところをもっと知りたいと思うのが、この大逆転劇を演じた本人が書いた物を読みたい理由です。

ド・ゴールは若い頃から ecrivant (著述家、作家)になりたいと思い、軍人として第一線で行動しながら、大部の著作を残したのですね。チャーチルも本をたくさん書き、さらに絵も沢山描いてることには驚きます。ウイスキーを大量に飲んだらしいですが。

途中で翻訳の助けを借りることになるかもしれませんが、いつかは、手にして読まねばならない本だと思っていました。


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